ロッテ・東妻勇輔、一軍で初の弟との対戦は「すごい楽しかった」も「真っ直ぐとわかっているんだったらホームラン打てよと言いました」

「一軍という舞台でやっと対戦できたのはすごい楽しかったですし、親も観にきていたので、いい親孝行になったのかなと思いました」。

ロッテ・東妻勇輔は3月6日のDeNAとのオープン戦で、プロ入り後初めて一軍の舞台で弟・純平と対戦した。

純平がプロ入りした20年からの4年間でファームの公式戦では、3度対戦がある(教育リーグ、フェニックス・リーグ含まない)。20年8月5日のDeNA二軍戦で初対戦し空振り三振、21年5月13日の二軍戦でも空振り三振、22年9月27日のDeNA二軍戦では左安だった。

初の一軍での対決はオープン戦。0-2の7回一死一塁の場面で、弟・純平が代打で登場し一軍で初の対戦が実現した。東妻は初球145キロの外角ストレートでファウルにすると、2球目の145キロストレートを捉えられ、打球はセンターへ。和田康士朗が懸命に追いかけキャッチを試みるも、グラブからボールがこぼれ記録は二塁打となった。

東妻は「前回、前々回ぐらいから真っ直ぐでしか勝負していなかったので、真っ直ぐとわかっているんだったらホームラン打てよと言いました」と冗談まじりに試合後の弟とのやりとりについて教えてくれた。

東妻は昨年の秋から“クイックで投げた時の平均球速を上げること”、“フォークの安定感を増すこと”、“左打者の内に食い込むボールを作ること”の3つを課題に掲げて取り組んでいる。弟の純平は右打者のため、左打者の内に食い込むボールについては確認ができないが、その他の2つは確認することができる。対戦後に打者目線で、弟から話を聞いたりしたのだろうかーー。

「あいつは自分のことで手一杯というか、初めての一軍ですし、今が一番大事な時期だと思うので、その辺に関しては自分は自分なので、他の人に聞きながら。弟とは対戦と楽しんだくらいですかね」と弟の現在の立ち位置を考え、あえて聞かなかった。

ちなみに兄弟仲については、「5つも歳が離れているので、正直一緒にプレーしたことはないですし、プロに入ってから3回、4回くらいしか対戦していない。歳の離れた可愛い弟ではありますけど、一緒に野球をやっているのは不思議な感覚ですね」と明かした。

純平はセ・リーグのDeNAに所属しており、一軍での対戦となると、交流戦、日本シリーズに限られる。ただ東妻は交流戦、日本シリーズでの弟との対戦は「嫌ですね(笑)」と笑顔で回答。

その理由について「そんなに真っ直ぐに自信のあるピッチャーではないので、やっぱり雰囲気が真っ直ぐで勝負しろという感じになっちゃう。シーズンだとそれは流石にできないですけど、余裕があるのでまだ真っ直ぐを投げていますけど、あんまり打たれちゃうから嫌だなという感じですね」と説明した。

東妻の武器のひとつといえば、ツーシーム。ツーシームでゴロを打たせて打ち取ることは可能だ。弟との対戦でツーシームを投げないのかと聞くと「投げられないですね」と笑顔。可愛い弟と対戦する時は、どうしても力勝負になってしまうようだ。それでも、交流戦、日本シリーズで“兄弟対決”の実現を東妻の家族、マリーンズファン、ベイスターズファンは楽しみにしているはずだ。

取材・文=岩下雄太

© 株式会社シーソーゲーム