“MAX戦線”に殴り込み オノフ「ドライバー AKA」の意外な万能性

"どこで打ってもまっすぐ飛ばせる”という「ドライバー AKA」を試打検証(撮影/有原裕晶)

オノフ史上最大の飛距離性能と寛容性をうたうヘッドとして、2年ぶりに「オノフ ドライバー AKA<2024年>」がモデルチェンジ。果たしてどのような進化を遂げたのか。ギア知識が豊富なミタさんが性能を解説、アスリートゴルファーのコウタロウ(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が試打を行い、ヘッド性能を探った。

“ドローバイアス”を5段階で調整できる味付け上手

【ミタさん】
「オノフ ドライバー KURO<2023年>」はツアープロやアスリートが好む操作性の高いモデルでした。それに対し「AKA」はアベレージゴルファー向けに「やさしく真っすぐ飛ばす」をコンセプトにしたモデル。その両者のコンセプトは変わっていません。

【コウタロウ】
オノフ「AKA」といえば、球が楽に上がってつかまるモデルですよね。どちらかというと飛距離よりやさしさという印象です。

8gのスライド式ウエイトを移動させることで、重心距離、重心深度を変えて弾道をカスタムできる(撮影/有原裕晶)

【ミタさん】
そうですね。ライ角が「61度」あり、重心角も大きく、「右に行かせない&つかまるドライバー」というイメージはあるかもしれませんね。さらに今回の「AKA」は、ソールのヒール側に8gのスライド式ウエイトを搭載しており、スライドを動かすことで “ドローバイアス具合”を5段階で調整できるようになっています。そこでつかまりを和らげることも可能ですし、ネック調整機能でライ角を調整することもできます。

【シオさん】
構えてみると、ヘッドがアップライトのせいか、トウ側が少し高く見えました。その分フェースはストレートもしくはややフックに見え、私には安心感があります。「AKA」のクラウンカラーはこれまで艶のあるクリアブラックでしたが、今作はマットブラックに変わり、非常に落ち着いた印象ですね。打感は弾く感じがあり、甲高い金属音が耳に残ります。もっとつかまってフックすると思ったのですが、実際は“程よくつかまる”程度。打ち出しがやや右に出るストレート系の弾道でした。ウエートポジションをドローバイアスが最大となる「DRAW」で打ってみました。自然なフェースターンが生まれ、打ち出しが「真っすぐ」か「やや左」に変わりました。

クラウンカラーは「KURO」のように落ち着いたマットブラックに変更された(撮影/有原裕晶)

【コウタロウ】
ボクも大きくフックする弾道は少なく、打ち出された方向にそのままストレートに飛んで行くことが多かったですね。ボールもまとまっているし、寛容性も高そうです。

【シオさん】
飛距離・安定感にはとても満足でした。ただスピン量が1,485rpmですか…。実際コースで使うにはスピン量が最低でも2,000rpm入らないとドロップしてしまいそうで少し不安です。

【ミタさん】
左右慣性モーメントは5,000gcm2以上あるようですから、深低重心でバックスピンが抑えられているのでしょう。シオさんのようにバックスピン量が足りないと思う方は、11.5度のロフト設定を試していただきたい。これは「AKA」に限らず、近年の低スピンドライバーで同じケースになることは多く、実際11度や12度のロフトを使うゴルファーは増えています。適正なバックスピン量は、飛距離はもちろん左右の曲がり幅にも影響しますので、スピン量とロフトのバランスには注視してほしいですね。

上級者の“フェアウェイファウンダークラブ”としても

ボール初速が高い数値で安定していたコウタロウ(撮影/有原裕晶)

【コウタロウ】
ボクはオノフ「LABO SPEC SHINARI CBT 60(S)」のシャフトで試打していきます。構えた時の見え方、大好きです。「AKA」ってもっとフックフェースでしたよね? この最新作は真っすぐ見えてターゲットに構えやすい。

【ミタさん】
マットブラックもコウタロウ好みじゃない?

【コウタロウ】
確かに、こういうの好き…。では、打ってみましょうか。おっ、いい感じのドローボールっスね。打つ前はちょっとやさし過ぎるかなと思っていましたが、ボクぐらいのヘッドスピードでもいけそうですね。こりゃ驚いた。初速性能が高くて、ボール初速が「71m/s」を下回ることが一度もなかった。シャフトもしっかりしていて、ダウンスイングで中間部からゆっくりしなってくる。クセがないから色んなゴルファーが使えそうですね。

「AKA」専用に開発された逆アーチ型トレンチの効果によって高初速エリアを拡大している(撮影/有原裕晶)

【ミタさん】
オノフドライバーといえば、クラウンやソール部に「トレンチ」と呼ばれる「溝」が設置されていますよね。今作ではこの「溝」の本数も増え、「AKA」専用の形状に改良するなど新たな工夫が施されています。反発値をルール限界に設定したフェースと、溝による「たわみと復元」のテクノロジーによって高初速を生み出しているんです。

「ドライバー AKA」(ロフト角10.5度)試打データ

【コウタロウ】
平均データは、打ち出し角14度でスピン量約2,500rpm、中弾道の中スピンでした。シオさんがいうように程よいつかまりやすさがあって、加えて打ち出しやスピン量も十分でした。やっぱりこのくらいスピンが入ってくれると、左右に曲がる幅も減ってやさしく感じます。データから見る安定感の高さは、“フェアウェイファインダー”(フェアウェイをとらえる)クラブとして競技ゴルファーでも使う方もいるんじゃないですかね?アベレージがメインターゲットかもしれませんが、同時にアスリートもやさしさの恩恵が得られるドライバーだと思います。

【ミタさん】
高初速でつかまる「AKA」は、外ブラの「MAX/DRAW」系ドライバーの位置付けにしっかり食い込んできたかと思います。そうしたヘッドと同時にテストして、データを比較してみると面白いかもしれませんよ。

まとめ

様々なゴルファーが使えそうな、適度につかまって曲がらないモデル

ドライバーAKAの試打動画はこちらからご覧ください

■ 試打したクラブのスペック

オノフ ドライバー AKA<2024年>

オノフ AKA ドライバー<2024>
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:SMOOTH KICK MP-524D/LABO SPEC SHINARI CBT 60 ●硬さ:共にS

■ マイクラブ情報

シオさん:ピン G430 SFT ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:Regio Fomula MB+ 55 ●硬さ:S

コウタロウ:ヤマハ RMX VD/X ドライバー
●ロフト角:9.5度 ●シャフト:VENTUS TR RED 6 ●硬さ:X

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