福祉現場で活躍する若手表彰、大分市の丹羽さん最優秀賞 障害者の雇用拡大など評価【大分県】

全国大会のステージで、グランプリ受賞の喜びを語る丹羽信誠さん
社会福祉ヒーローズ賞のグランプリを受賞した丹羽信誠さん(中央)

 【大分】大分市坂ノ市西の障害福祉サービス事業所「ウィンド」の丹羽信誠(しんじょう)副施設長(39)が、福祉の現場で活躍する若手を表彰する本年度の「社会福祉ヒーローズ」賞のグランプリに輝いた。一人一人の個性や特性を生かした働き方の取り組みを企業と連携して進め、障害者の雇用の拡大、就業の定着を実現していることが評価された。グランプリは県内初。

 同賞は全国社会福祉法人経営者協議会(東京都)が2018年に創設。20~30代が対象で、本年度は全国から58人の応募があり、1都3県の6人が受賞。ファイナリストとして全国大会(2月27日・同)で取り組みを発表し、大学教授、学生らによる投票で最優秀賞のグランプリを決定した。

 丹羽さんは大正大、同大学院で社会福祉学を学び、10年、卒業と同時に両親が運営する社会福祉法人「暁雲福祉会」(同市坂ノ市西)に入職。大分キヤノンと同法人が設立し、知的障害のある人が働く「キヤノンウィンド」に就労支援マネジャーとして出向した。

 新規作業の導入に当たり、障害の特性に合わせて無理なく取り組めるように、社員個々の得意・苦手な作業が一目で分かるマップを作り、スキルを「見える化」。同社のスタッフと共有し、全体の作業量を客観的に把握できるようにした。作業をしやすくするための補助器具も共同で試行錯誤を重ねて開発。作業を2種類から約60種類まで増やし、カメラのアクセサリーだけでなく本体のパーツにも携われるようにした。

 20年からは「ウィンド」の副施設長として、一般就労を目指して訓練を受けている利用者の相談業務に当たる。悩みを解消し不安なく働けるように職員と力を尽くしている。

 グランプリの受賞を「みんなの活躍があってこそ。周りの人たちと地道に積み重ねてきた取り組みが評価されたことがうれしい」。

 常に心がけているのは、社員や利用者の可能性の広がりと笑顔という。「障害の有無にかかわらず、互いに支え合って生きていくための可能性を探し続け、実践を深めていきたい」と思いを話した。

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