上場「スーツ・紳士服7社」動向調査 「オーダースーツ」好調、紳士服に復活兆し

店舗数はピークから2割減・2300店舗 コロナ禍での店舗整理が影響

 コロナ禍で大きく減少したスーツ需要が戻りつつある。上場するスーツ関連企業7社の2023年度業績をみると、スーツ事業の売上高合計は前年度比約4%増の3600億円に上る見通しとなった。スーツ事業の営業利益合計も5年ぶりに100億円を超えるとみられる。スーツ店舗数は23年度末時点で2300店舗前後になるとみられ、コロナ前で最も多かった17年度末(2997店)から約700店減・8割前後まで縮小する。大手を中心に、コロナ禍に行った大規模な店舗整理が影響した。

 コロナ前に比べるとスーツ需要は回復途上にある半面、冠婚葬祭向け礼服需要の回復やオーダースーツ人気の高まり、「ビジカジ」ウェアの販売拡大が各社の業績アップを後押しした。業界首位で「洋服の青山」を展開する青山商事は、自社のオーダースーツブランド「Quality Order SHITATE」を全店舗に導入した。一方、「AOKI」「ORIHICA」を運営するAOKIホールディングスは、高価格帯「金のスーツ」が好調なほか、「パジャマスーツ」や女性向けウェアの商品提案力を強化した。

 足元では「2024年度の新入学・入社式向けが好調」と聞かれるほか、パターンオーダーを含め「オーダースーツが想定以上に売れている」との声も聞かれる。既存のビジネススーツ以外における商品力の強化が実を結ぶ形で、コロナ禍の苦境から「復活」の兆しが見えている。

左:上場紳士服7社のスーツ事業 売上高合計 右:主要4社は2023年度で増収を確保

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