犠牲者を悼み、防災への誓い新た 藤沼湖決壊13年を前に「つどい」 福島県須賀川市長沼地区

慰霊碑を前に、献花する出席者

 東日本大震災の発生によって福島県須賀川市長沼地区の農業用ダム「藤沼湖」が決壊してから13年になるのを前に、「大震災と藤沼湖の記憶をつなぐつどい」が10日、市内の滝防災公園で開かれた。地域住民らが犠牲者を悼み、防災への誓いを新たにした。

 約80人が出席し、公園内の慰霊碑に黙とうをささげた。柏村国博実行委員長が「災害から自らの命を守る意識づくりのため、藤沼湖決壊からの教訓を伝えていきたい」とあいさつし、橋本克也市長らが哀悼の言葉を述べた。

 決壊で祖母さつきさんを亡くした市内の和智裕子さん(40)は、小学生の子ども3人と一緒に献花した。当時、車を高台に移動させて戻ると濁流が押し寄せており、さつきさんのいる家に近づけなかった。助けることができなかった後悔が残る。震災後に生まれた子どもたちを見つめ、「いざという時に考えて行動し、命を守ることができる人になっていってほしい」と願った。

 藤沼湖決壊により7人が死亡し、1人が行方不明となっている。

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