明智光秀築いた「幻の城」保存へ 宅地開発は中止 大津市「国史跡の指定目指す」

発掘調査で出土した坂本城の西端と考えられる石垣と堀の遺構(大津市下阪本3丁目)

 大津市は、同市下阪本3丁目の坂本城跡発掘調査で見つかった城の「三の丸」のものとみられる石垣や堀などについて、埋め戻さずに保存する方針を明らかにした。佐藤健司市長が2月20日の市議会本会議で、引き続き周辺の調査を進め、国史跡の指定を目指すとした。

 発掘調査は、約3千平方メートルの住宅予定地で昨秋から進められ、これまでに約900平方メートルを調査した。現地からは、石垣(長さ約30メートル、高さ約1メートル)や堀の跡、建物の礎石、井戸などの遺構が見つかり、戦国武将の明智光秀が築いた坂本城の遺構と推定された。

 佐藤市長は市議会で、石垣などについて「歴史的な価値が高く、後生に伝えるべき貴重な財産だ」との見解を示した。調査地で宅地開発を進めていた市内の不動産業者からは、開発を中止することで合意を得たとした。

 国史跡に指定されれば、国の補助金を活用して調査地を取得し、維持管理や情報発信に向けた整備に取りかかる予定。現地をどのような形に整備するかは未定としている。

 「幻の城」と呼ばれている坂本城の遺構が確認されるのは、1979年の調査以来。今回の発掘結果に対しては、地元住民から保存を求める声が出ており、2月前半に開いた現地説明会には約2千人が訪れる人気ぶりだった。

 国史跡に指定されれば市内16件目で、城関連では初となる。

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