【おひとりさまの老後資金】30代独身です。このまま生涯独身の場合、65歳までにいくら貯金があれば老後生活できますか?

65歳以上の平均支出はいくら?

総務省統計局の「家計調査報告」によると、65歳以上でひとり暮らしをしている方の平均支出は、消費支出が14万3139円、税金や社会保険料などの非消費支出が1万2356円で、合計15万5495円でした。

いっぽう、65歳以上でひとり暮らしをしている方の平均収入は13万4915円です。支出額と比べると、2万580円足りません。これらは月額の支出と収入ですので、年間に換算すると、24万6960円不足することになります。

仮に90歳まで生きるとすると、65歳から90歳の25年間で、新たに617万4000円が必要です。つまり、独身のまま老後を暮らしていくには、少なくとも約618万円以上の貯金をしておく必要があります。

さらに老後には、大きなけがをしたり、病気などを患ったりするリスクも少なくありません。医療費を考慮すると、さらに多くの貯金をしておくほうがよいでしょう。

618万円を貯金するには毎月いくらためたらいい?

もし、30歳から65歳の35年間で618万円を貯金したい場合は、年間で約17万6572円ためる必要があります。月額では、約1万4715円です。

計算の結果より、30歳から貯金を始めるならば、切りよく1万5000円を毎月貯金に回してみましょう。1万5000円を毎月貯金すると、35年後には630万円貯金できる計算です。目標金額分だけ貯金できていれば、退職金は、急にお金が必要となったときの費用として取っておけます。

また、老後に使えるお金を多くしたいならば、学生時代に猶予してもらった分の年金追納や、繰下げ受給で月に受け取れる年金額を増やすことも可能です。

年金の追納

国民年金は、20歳から納付義務が発生しますが、学生納付特例制度を利用すると、学生の間は年金の納付を猶予してもらえます。ただし、あくまでも猶予しているだけですので、学生期間分の年金は支払わない限り、老後に受け取れる金額には含まれません。

そこで利用できる制度が、追納制度です。10年前までの猶予や免除を受けた年金ならば、あとからでも支払えます。猶予された分を納めるため、追納しない場合よりも、受け取れる年金額が増える点がメリットです。

年金の繰下げ受給

繰下げ受給とは、年金の受け取り時期を遅らせることで、受け取れる年金額を増やせる制度です。1ヶ月遅らせるごとに、受給額が0.7%増加します。

もし65歳から70歳まで受け取り時期を遅らせると、42%増加した金額を受給することが可能になります。受け取りタイミングが遅くなっても構わず、年金額をなるべく多く受け取りたいという方に向いています。

老後の単身世帯は約618万円の貯金が必要

老後の平均支出と平均収入を比べると、年間24万6960円不足します。不足分を補うには、65歳までに約618万円の貯金が必要です。言い換えれば、約618万円の貯金ができていれば、退職金は、万が一のときの備えとして取っておけます。

さらに、年金の追納制度や繰下げ受給を利用すれば、年金の受給額自体も増加可能です。少しでも老後の資金にゆとりを持ちたい方は、制度の活用も検討してみましょう。

出典

総務省 家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要 図2 65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2022年-(18ページ)
[日本年金機構
国民年金保険料の追納制度](https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150331.html)
年金の繰下げ受給

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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