「農業やろう」動画で発信 県、新規就農増めざし制作・県内3法人の社長ら出演

座談会で農業の魅力やこだわり、人材の重要さを語り合う(右から)矢萩美智社長、斉藤智実社長、井上貴利専務

 農業の印象の中でも後ろ向きな部分を変え、新規就農者を呼び込もうと、県は所得が高く、企業的経営を実践している「スーパートップランナー」の農業法人を営む社長ら、3人による座談会の動画を新たに制作した。現場の実情や仕事の魅力、こだわりを語り、「農業をやろう」と呼びかけている。動画投稿サイトに新設した県の「やまがた農業チャンネル」で公開している。

 天童市でサクランボなどの果樹を生産し、観光果樹園も営む「やまがたさくらんぼファーム」の矢萩美智社長(48)、尾花沢市でスイカの生産と新品種開発を手がける「アグリードまるひろ」の斉藤智実社長(45)、鶴岡市で水稲や野菜の生産、加工などに取り組む「井上農場」の井上貴利専務(43)が出演している。販売や発信の方法を工夫し、新品種開発などにも取り組んできた3人は「もうかる農業」に対するこだわりや意欲を熱く語っている。井上さんは「自分の色が反映される農業は面白い」、矢萩さんは「世界的に人口が増える中、食料を生産する仕事はまだまだ伸びる可能性がある」と魅力や、やりがいを紹介している。

 3人は以前よりも休みも増え、農業の現場で働く環境は良くなっていると指摘し、農家出身ではない人も増えていると紹介。「経営理念や目標を従業員と共有するなどし、気軽に意見を交換できる関係を構築するよう努めている」などと述べ、女性や新規の働き手の力や意見が重要だと指摘した。斉藤さんは「人材は宝だ」と強調した。

 複数の編集バージョンがあり、全編の再生時間は約45分。動画投稿サイト・ユーチューブで視聴できる。県によると、本県では昨年5月末までの1年間の新規就農者は過去最多378人となっている。ただ全体の農業従事者は年々減少しており、担い手確保に向けた新たな取り組みとして県が座談会と動画の公開を企画した。

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