「超売り手市場」合同説明会で企業奮闘

来年卒業する大学生の就職活動が3月1日、本格的にスタートし、江東区では3月8日に大規模な合同企業説明会が行われました。「超売り手市場」とも言われる中、企業側はあの手この手で人材の獲得を目指しています。

記者:「大企業の名前が連なるこちらの大きなブースには、説明を聞きに多くの学生たちが集まっています」

全日空を中心とするANAグループの説明会は、立ち見が出るほどの盛況ぶり。しかし、担当者は「グループの中には採用状況が厳しい企業もある」と話します。

ANAグループオペレーションサポートセンター 杉山誉さん:「これだけお集まりいただいているが、グループの中でも非常に人材確保が厳しい企業もある。PRする場をより広めていって、人材不足となっている企業でも日が当たるように努めていきたい」

大手企業も直面している人材不足。東京ビッグサイトで行われている合同企業説明会には、3月8日・3月9日の2日間でのべ500社以上の企業が集まり、人材の獲得を目指します。

フルハシEPO 大馬寛志さん「弊社がBtoBといった形でなかなか一般の人に知られていない。私たちからどうしても声をかけていかないと見つけてもらえない。これからもどんどん色々な人にお話していきたい」

食べるお宿浜の湯 鈴木良成代表取締役社長:「やっぱり大変ですね。この会場できょうの学生の動員を見ても、ひと頃のコロナ前とは全然違う。とにかく接点を多く持たない限りはチャンスは訪れないので、こうやってブースを構えています」

各企業から口を揃えて聞かれる人材確保の厳しさ。その中で少しでも学生の興味を引くように工夫する企業も多く見られました。

ジールアソシエイツ マーケティング局 田中勇輝局長:「うちはサウナの会社ではありません。うちはイベントディスプレイ業界に所属する空間をプロデュースしている会社。こういう楽しいを作る会社ということに共感してもらえる学生に仲間になってほしいと思って呼び込んでいる」

一方、当の学生たちはこの状況を冷静に見ているようです。

就活生:「売り手市場というのはよく聞くが、求められていることも増えていると思うので、売り手(市場)だからというのはあんまり実感していない」「これ以降、選考が進まないことには実際そうなのかというのは実感としてはわかない。自分の軸を持ってやっていくという形」

こうした環境だからこそ学生たちには自分の将来についてじっくり考えてほしいと、マイナビ編集長の高橋さんは話します。

マイナビ 高橋誠人編集長:「人生100年時代と言われているので、卒業した学生は50年ぐらい働くことになる。しっかり自分から動いて、情報収集した上で決断していくということを落ち着いてやっていただきたい」

社会人生活のスタートに向けて、学生たちの就活はまだ始まったばかりです。

超売り手市場の今、学生側のニーズに合わせて、企業側の採用にも変化があるようです。企業のデジタル化事業を行う「ナイル」が現在、採用選考で導入しているのが「選べる面接官制度」です。一次面接の面接官を学生側が選べるというもので、学生は専用サイトに載せられた20人の面接官の情報を見て5人を選び、そこから面接官が決定され実施となるそうです。最近は面接官についても運次第だということで「面接官ガチャ」なんて言葉もSNSでは見られますから、そういった学生側の不安解消にも繋がる制度ですね。

ナイルの担当者によりますと、学生側が面接官を選ぶことで企業についての理解も深まり、面接自体の質も向上していると面接官からも学生からもとても好評だそうです。この効果があってか、企業のエントリー数は去年よりも1.5倍になったそうです。

さらに、現在の就職活動においてもはや必須となっている就職情報サイトについても形が変わってきています。就職情報サイトは企業側が情報を登録し、その中から学生側が入りたい企業を探しエントリーするというのが一般的ですが、アイプラグが提供する「オファーボックス」はシステムが全て逆で、学生側が情報を登録し、企業側がその情報を閲覧し入って欲しい学生にオファーするという形のスカウト型就職サイトなんです。オファーボックスへの登録数は、今年24万人を超えているということです。こうした多様化するサービスをうまく使って、学生のみなさんはもちろん企業側にとっても良い就職に繋がるといいですね。

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