【鹿沼】伝統木版摺師(すりし)の岡田拓也(おかだたくや)さん(40)による技法解説会がこのほど、市川上澄生(かわかみすみお)美術館で行われた。全国でも希少な摺師の岡田さんが有名な浮世絵作品を実際に刷りながら解説。80人超が来場した。
白鴎大教授も務める斎藤千明(さいとうちあき)館長プロデュースの企画展「『刷り』という実験室」に関連し同大教育科学研究所が主催。伝統木版は下絵を描く「絵師」、版木を彫る「彫師」、和紙に刷り込む「摺師」の三者が分業で版画制作に当たる。岡田さんは国内に20人しかいないといわれる摺師の一人で全国で実演会を開くなど普及に努めている。
この日は葛飾北斎(かつしかほくさい)の版画作品「神奈川沖浪裏」を実演。遠近感を表現する「ぼかし」と呼ばれる技法を解説するなどした。
来場者は刷り台を囲むようにして耳を傾けた。那須烏山市、無職大笹由美子(おおささゆみこ)さん(64)は「細かいところにまで配慮が行き届く伝統技術の素晴らしさを感じた」と話した。企画展は4月7日まで。