浦和FW前田直輝はなぜ試合後、浮かない表情だったのか。機転を利かせたリスタートで決勝弾の起点に「とっさに出た」

浦和レッズは3月10日、J1第3節で北海道コンサドーレ札幌と敵地で対戦。1-0で勝利し、今季初白星を収めた。

前節の東京ヴェルディ戦(1-1)は体調不良によりベンチ外。浦和のFW前田直輝は悔しさを滲ませた。

「4日間くらい高熱が出ていた。本当にチームに迷惑をかけたなと。先生が最後の最後まで可能性を探ってくれて、でもちょっとウイルスには勝てなくて、申し訳ない。本当に悔しい家で見る試合で、あんな悔しい思いはもうしたくないなと。みなさんに申し訳ない気持ちでいっぱいだったので、それをぶつけようと思いました」

“この試合こそは”と前田は奮起。札幌戦に右ウイングで先発すると、立ち上がりから果敢に仕掛け、カットインなどから何度も惜しいシュートを放った。

【動画】前田のリスタートから生まれた先制弾!
先制シーンも機転を利かせた前田の好判断から生まれた。右CKのキッカーを務めると、クイックリスタート。ショートコーナーから、サミュエル・グスタフソンのクロスに酒井宏樹がヘディングで合わせ、先制ゴール。これが決勝点となった。

「色んなスタッフが色んなバリエーションを、こういうのもあるよと言ってくれるなかで、2対1を作れる場面があるというのはリサーチ済みだった。(リスタートは)これ2対1作れるぞ、というかフリーだぞ、というのは、自分のなかでとっさに出たので、中の準備よりもここでちょっとアクションを加えれば、何か違うことが起きるんじゃないかと思ってやりました」(前田)

得点の起点となるなど勝利に貢献したが、29歳のアタッカーは自身の出来に決して満足していない。試合後はどこか浮かない表情だった。

「毎回言うようですけど、結局0ゴール0アシストでしたし、そこは『前田良いところまで行ってるんだけどなー』で終わる選手になりたくないなというのは強い。そこは成長しないといけないなと思っています」

誰が見ても認める、目に見える結果を残してチームに勝利を――。前田は闘志をたぎらせ、今後も走り続ける。

取材・文●手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)

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