春告げるシンコ漁、播磨灘で始まる 各港水揚げ少なく、8年連続の不漁予報的中

次々と水揚げされるイカナゴのシンコ=11日午前、姫路市白浜町の妻鹿漁港(撮影・辰巳直之)

 瀬戸内に春を告げるイカナゴのシンコ(稚魚)漁が11日、播磨灘で始まった。兵庫県水産技術センター(明石市)による8年連続の不漁予報が的中して水揚げは少なく、高値が付いた。例年、同時期に漁が解禁される大阪湾では、資源保護のため今年初めて実施が見送られた。

 播磨灘の漁は9日解禁だったが、強風のため初日を11日に延期した。

 明石市の林崎漁協の漁師らは夜明け前に出港し、午前6時10分の日の出と同時に網を投げ入れた。

 同市の林崎漁港では午前10時40分ごろ、漁船が姿を見せた。透き通った体長約7センチの希少なシンコを仲買人らが品定めし、初値は1籠(25キロ)約17万円と昨年の2倍近い値段が付いた。仲買人の鶴谷真宜さん(44)は「ここまでの高値は見たことがない。少し大きいが、魚本来の風味を楽しめるはず」と話した。

 坊勢漁協(姫路市)からは約180隻が出漁したが、こちらの水揚げも例年より少なかった。

 県内のシンコ漁はかつて、1万~2万トン台の水揚げがあったが、2017年以降は極度の不漁が続く。22年の漁獲量は1665トン(速報値)、23年は1209トン(同)と低迷。漁業者は資源保護のため、1カ月余りあった漁期を数日~約20日に短縮している。(三宅晃貴、辰巳直之)

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