高見神社のスマートアバター®を作った凄い会社 BOND代表取締役・古川ひろ美さん

西日本新聞社北九州本社が制作するラジオ番組「ファンファン北九州」。地元新聞社ならではのディープな情報&北九州の魅力を紹介しています。ラジオを聞き逃した人のために、放送された番組の内容を『北九州ノコト』で振り返ります。今回のゲストは、高見神社のスマートアバター®を作った会社、有限会社BONDの代表取締役・古川ひろ美さんです。

父からの印刷業を継承 <紙>から<動画>に転換

甲木:おはようございます。西日本新聞社 ナビゲーターの甲木正子です。

野口:同じく、西日本新聞社 野口喜久子です。

甲木:野口さん、以前この番組のゲストに出てくださった高見神社の波多野さん、覚えてますか?

野口:はい、もちろんです。

甲木:波多野さんのお話の中に、神社を案内してくれるスマートアバター®の話がありましたよね。

野口:伝統ある神社なのに、説明を可愛いアバター2人が多言語で説明するという、画期的なお話でしたね。

甲木:あのスマートアバター®を作り出した方が、今日のゲストなんです。

野口:はい、楽しみにしてました。

甲木:それでは早速、本日のゲストをお呼びしましょう。スマートアバター®の生みの親、有限会社BOND社長の、古川ひろ美さんです。よろしくお願いします。

野口:よろしくお願いします。

古川:よろしくお願いします。

甲木:古川さんの会社は、高見神社のスマートアバター®も作っていると紹介したんですけれども、その有限会社BONDのお仕事の内容についてご説明して頂いていいですか?

古川:有限会社BONDは、1950年に私の父の古川章が印刷業として創業しました。跡継ぎベンチャーということで2006年に継承しましてBONDという社名に変え、現在は紙から動画によるソフトウェアの開発メーカーに変換した会社でございます。

甲木:お父様は、紙の印刷をお仕事となさっていて、継いだ古川さんは紙ではなくて、動画ということですね。

古川:はい。父は日頃から情報産業に不景気はないということを言っていました。当時は活版印刷が主流でしたが、これからは活版印刷はなくならないけれども、カラー印刷が主流になると言うことで、もともと造船工学者で機械を扱うのが得意だったんです。海外からも機械を取り入れて、独自でオフセット印刷の開発に挑みました。紙から動画で伝えるというやり方が変わっただけで、会社のミッションとしては変わってないかなと思います。

甲木:なるほど。一見すると全然違う会社をやってるように見えますが、それで跡継ぎベンチャーなんですね。

古川:そうなんです。今のキャッチフレーズが、“伝える絆を想像する”ということで、絆、すなわちBONDという社名です。

甲木:それでBONDなんですね。

ニュース番組や神社で活躍するアバター 当初は理解を得られず

甲木:もうちょっと古川さんの会社でなさっている、スマートアバター®の動画生成のお話を伺いたいんですけど、文字とか画像を入力する程度のことができる人だったら、誰でも動画が作れるというシステムですよね。

古川:はい。動画生成AIですから、2010年あたりの開発構想の当初は生成とか、ましてやスマートとかアバターっていう言葉も世の中に無かったんです。アバターの映画が始まる前で発想があまりにも妄想が行き過ぎまして、今でこそ動画生成AIという言葉だとすっとお客様に入ってくるんですが、なかなか理解を得るのが難しかったです。生成AIも何種類かございまして、手入力で入れて動画ができるもの、それから自動でできるものとか、遠隔で人が喋る事に同期して動画が生成されるものとか、各種、伝える力にこだわる製品が揃ってます。

甲木:その製品の一つが、波多野さんの神社のあのアバターで、AIの知識とか全然なくても入れたい情報を入力したら、英語であのアバターさん達が巫女さんの格好をして喋ってくれるということですね。

古川:そうです。

甲木:なるほど。ジェイコムさんのニュースも、アバターさんに読ませていましたよね?

古川:そうなんです。北九州でこういうものを開発したと言った時に、初めてご紹介して頂いた企業様がジェイコムさんです。その後、『ニュース55』(北九州市広報番組)で利用して頂きました。

甲木:そのニュースを聞いていても全然違和感がなく自然に聞けて、すごく良かったんですよ。

古川:嬉しかったんです。甲木さんとある組織のご縁で、意見交換させて頂いて、その時にもっとアバター君を表情豊かに活発に使った方が良いんじゃないかとか、「もうそれぞれ」みたいなことを甲木さんが言ってくださって、すごく勇気を頂いた記憶があります。

野口:そういうことがあったんですね。

甲木:そうなんですよ。結構前のことで、その時は生成AIとかいう言葉も知らなかった時なので、私も本当に素人丸出しでしたが、そのニュース見てる感じでは全然自然だったので、こういうのがもっと世の中で活躍すれば良いと思ったんですよね。

古川:ありがとうございます。

甲木:今日こうやって改めゲストに来て頂いて、会社の説明を聞かせて頂けるのでとても嬉しいです。

古川:こちらこそ。

「苦労」は無い 方法は何万通りもある

甲木:去年の12月には北九州の“新商品創出事業”に選ばれましたね。おめでとうございます。

古川:ありがとうございます。2度目なんです。何とか皆さんに認めて頂きたくて、他にもいろいろ公の場に出るチャレンジをしていますが、北九州市においては同じ製品でも学びを頂いて、どんどんバージョンアップしていっているので今回も新たにバージョンアップリニューアルした製品が認められました。

甲木:そうやって、賞をお取りになるとか、選ばれるとか、大きなお取引先からお仕事が来るようになるまでには、すごくご苦労もあったと思うんですけど、どうやって乗り越えて来られたんですか?

古川:苦労というワードが、私たちベンチャー仲間には無いように思います。苦労や面倒くさいことは当たり前、崖の上から落下して行ってるんだから早くパラシュート開いて飛んで行けよみたいな(笑)。

甲木:えー!

古川:そんな感じがあるんじゃないかなと思うから、苦労と思ってないんですよ。ただ、困った時に、方法は何万通りもあると言うようなことで考え続けるわけです。考え続けていると考えてるオーラが出るのかもしれないんですけど、多くの方に支えて頂いたり、勇気をもらったり、「ここまで来たんだから悩まずに楽しんだら」とか言われたり支えてくださる皆様のおかげで、苦労と感じなかったのかもしれません。

甲木:ありがとうございます。もうちょっとお話を伺いたいところですが、今日は残念ながらお時間となってしまいましたので、来週もう少し古川さんの内面に迫るお話を聞いてみたいと思います。

古川:ありがとうございます。

野口:本当に、背筋が伸びる思いで社長のお話を伺いました。また、来週よろしくお願い致します。

古川:よろしくお願い致します。ありがとうございました。

甲木:本日は小倉北区でスマートアバターを使った動画作成などをしている、有限会社BOND社長の古川ひろ美さんにお話を伺いました。古川さん、ありがとうございました。

古川:ありがとうございました。

〇ゲスト:古川ひろ美さん(有限会社BOND 代表取締役)

〇出演:甲木正子、野口喜久子(西日本新聞社北九州本社)

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