『ブギウギ』草彅剛が“義理と人情”のダンスに大はしゃぎ! 史実と違わぬ大パーティーに

福来スズ子(趣里)の「東京ブギウギ」、茨田りつ子(菊地凛子)の「別れのブルース」など、数々の名曲を世に送り出してきた作曲家・羽鳥善一(草彅剛)。彼の手がけた楽曲が二千曲を突破し、それを記念したパーティーが開催されることになった。『ブギウギ』(NHK総合)第112話では、スズ子とりつ子の“ゴールデンコンビ”が善一のためにサプライズを実行する。

ある日、善一の自宅に招かれたスズ子とりつ子。二千曲記念ビッグパーティーのポスターを2種類で迷っているので、どちらかに決めてほしいというのだ。そんなことでビックスターである彼女たちを呼び出せるのは善一くらいだろう。しかし、スズ子とりつ子の歌手人生は善一がいてこそ成り立っていると言っても過言ではない。そんな善一に余興を頼まれた2人。りつ子の「先生があっと驚くようなことをしてやりましょうよ」という提案で、スズ子はサプライズを考えることになった。

スズ子は大野(木野花)やタケシ(三浦獠太)に相談するも、なかなか名案と呼べる意見は上がってこない。そんな中、保育園に通い始めた愛子(小野美音)がお遊戯会の練習をしている光景を微笑ましく見ているうちにアイデアが降ってくる。

そして迎えたパーティー当日。会場のステージでは、善一がこれまでに手がけてきた楽曲が次々と披露される。スズ子は「東京ブギウギ」を披露。軽快なステップを踏みながら、パワフルな歌声を響かせる彼女のパフォーマンスで会場のボルテージは一気に上がる。対して、「別れのブルース」を歌唱するりつ子は流石の貫禄。彼女の感情を揺さぶる歌声に善一や妻の麻里(市川実和子)も聞き入った。

ライバルではあるが、ともに自由に歌えない戦禍を乗り越えてきた同志として言葉では語りきれない絆で結ばれたスズ子とりつ子。今ではりつ子の嫌味にスズ子が軽いノリで返すような仲になったが、改めて2人が同じステージに立つとその違いがよく見える。スズ子とりつ子は衣装、歌の方向性、表現方法など何もかもが異なり、人間としてはもちろんのこと、歌手としてもかなり対照的だ。

そんな彼女たちがどんな余興を披露するのか。りつ子は自分の曲を歌い終わると、もともと身につけていた黒いコートから真っ赤なジャケットに早着替え。同じ衣装を着たスズ子が舞台袖から現れると、再び「東京ブギウギ」が流れ始める。2人が披露するのは、スズ子のエンターテイナーとしての原点でもあるラインダンスだ。これまでに見たことのない笑顔でステージに立つりつ子だが、スズ子から提案を受けた当初は全力で拒否し、本番のギリギリまで渋っていた。

それでも最終的には自分を曲げ、スズ子のスパルタ指導を受けながら日々練習を重ねて完璧なダンスを披露したりつ子。彼女も“義理と人情”の人なのだ。その心意気が嬉しく、善一は自らステージに上がり、スズ子たちと一緒に踊る。はしゃぎすぎてラストで転び、「これが本当のサプライズだ!」という善一の言葉でみんな大笑い。先週、スズ子の父である梅吉(柳葉敏郎)が旅立ち、しんみりとしたお茶の間の空気を明るくした。

善一のモデルになった服部良一の二千曲記念パーティーでは、実際に笠置シヅ子や淡谷のり子をはじめ、彼にゆかりのある歌手たちがラインダンスを披露したという。その後、85歳で生涯に幕を閉じるまで服部は三千曲以上の楽曲を手がけた。

「三千曲に向けてお楽しみはこれからだ!」という善一の台詞は、『ブギウギ』の最終回を目前に控えた私たちに向けられたものにも思える。残り3週、大いに私たちを楽しませてほしい。
(文=苫とり子)

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