午前の日経平均は急反落、米半導体株安や円高を嫌気

Noriyuki Hirata

[東京 11日 ロイター] - 午前の東京株式市場で日経平均は、前営業日比984円84銭安の3万8704円10銭と大幅に反落した。米国での半導体株安や為替のドル安/円高が嫌気された。

日経平均は456円安で寄り付いた後も下げ幅を拡大し、一時990円安となり2月22日以来の安値水準の3万8698円22銭に下落した。

生成AI(人工知能)期待の中心となったエヌビディア株の5%安やフィラデルフィア半導体指数(SOX)指数の4%下落を受け、東京エレクトロンなど半導体関連株の下落が目立った。アドバンテスト、ソフトバンクグループを含む3銘柄で指数を約400円押し下げた。

日銀の早期正常化への思惑も投資家心理の重しになった。ドル/円は前週末から1円以上安い146円半ばから後半で推移し、輸出関連株を中心に嫌気された。銀行株は、前週までの急ピッチな上昇を経て利益確定売りが強まったとみられる。一方、内需株や円高メリット株は底堅さが意識された。

朝方に発表された2023年10─12月期実質国内総生産(GDP)2次速報は前期比0.1%増で、1次速報の同0.1%減から一転、プラスに転換した。これも、日銀の早期政策修正への思惑につながったとみられている。

市場では「日経平均が4万円を上回る過程で達成感や過熱感があり、利益確定売りが優勢になった。来週に日銀会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)を控える中、為替が円高となり積極的に買い上げる材料に乏しい」(三木証券の北沢淳商品部投資情報グループ次長)との声が聞かれた。

株価は大幅安だったが、3万8400円付近を通る25日移動平均線を引き続き上回っている。同水準を維持するかが目先の焦点とされ「下回れば調整が深まる可能性がある一方、持ちこたえれば上昇トレンド継続とみることができるのではないか」(北沢氏)という。

TOPIXは2.25%安の2665.37ポイントで午前の取引を終了した。市場では前場のTOPIXの下落幅が2%超となると日銀によるETF(上場投資信託)買いが入るとの観測があり、午後の日銀の出方に関心が寄せられている。

東証プライム市場の売買代金は2兆5774億5900万円だった。東証33業種では、値上がりはパルプ・紙やその他製品、繊維など2業種で、値下がりは鉱業や銀行、輸送用機器など31業種だった。

SCREEN HLDGやレーザーテック、トヨタ自動車は大幅安だった。一方、自社株買いを発表した大日本印刷が大幅高。円高メリットが意識されるニトリHLDGは昨年来高値を更新した。

東証プライム市場の騰落数は、値上がりが225銘柄(13%)、値下がりは1415銘柄(85%)、変わらずは15銘柄だった。

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