『光る君へ』本郷奏多が不憫すぎる  玉置玲央は「ずっと『花山天皇ごめん』って」

吉高由里子主演の大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)。公式サイト内には出演者の撮影現場からのコメントが聞けるキャストインタビュー動画「君かたり」が公開されている。第10回の「君かたり」の放送後には、藤原道兼役の玉置玲央、花山天皇役の本郷奏多、藤原義懐役の高橋光臣、藤原惟成役の吉田亮が登場した。(※)

第10回「月夜の陰謀」では、兼家(段田安則)が道長(柄本佑)たち一族を巻き込んで、秘密裏に花山天皇を退位させる計画が描かれた。花山天皇は信頼していた道兼から裏切られる形となり、花山天皇の外戚として出世していた義懐と惟成は一夜にして権力を失うことになった。

本郷は花山天皇について、忯子(井上咲楽)への思いは「本当に結構、純愛で愛していたと僕は思っている」と話したうえで「ちょっとまだ若すぎるがゆえに、あまり自分のことを俯瞰で見られていないというか、『忯子 忯子』ってなってしまって出家してしまったのかなという認識で僕はやっていました」と語る。

道兼に対しては「周りの環境に恵まれないだったりとか人に利用されているみたいな境遇がどこか重なる点とかもあったりして、道兼は自分に重なるところもあるし信頼していたって感じだと思いますね」と話した。だからこそ、裏切られた場面では「そんな大切な存在にはなから裏切る気で近づかれていたっていうことを理解した瞬間は、本当にすべてが崩れ落ちるようなショックだったんじゃないかと思います」と話している。

対して、道兼を演じる玉置は「自分の私利私欲とか目的とか父上から言われたこととか兄弟間での出し抜き合いとかマウントの……現代風にいえばマウントの取り合いだったりとかっていうものの完全にだしにしまっているわけで」と道兼から見た花山天皇について語り、「撮影期間中はもうずっと『花山天皇ごめん』って」と笑った。俳優・玉置としては花山天皇の立場に同情しつつも、「道兼にとっては手段、駒の一つでしかないっていうのが花山天皇への印象」と語っている。

家の繁栄のために手段を選ばない父・兼家のように、道兼もまた父に認められるため、兄弟を出し抜くためなら手段を選ばない。玉置は道兼について「ただ悪一辺倒じゃない」「ものすごく人間らしい人物なのかなって思えるようにはなってきましたね」と語っているものの、道兼の花山天皇への仕打ちは衝撃的だった。花山天皇のもとから立ち去る道兼がふいに見せた悪意のある表情から、彼にとって花山天皇が駒の一つでしかないことがありありと伝わってくる。

SNSでは、「道兼だけがわかってくれてる、と思ってたのに、騙されたと気づいたときの悔しさはどれほどだったんだろう……」と花山天皇の心中を慮る視聴者の声や、「ずっと孤独を感じている様で可哀想で応援したくなる」「儚く美しく孤独な天皇を見事に魅せて頂きました」といった本郷の演技に心動かされた視聴者の声も見受けられた。謀られ、退位させられた花山天皇だが、次回以降も花山院として物語に関わりを持つ。本郷、そして玉置の心揺さぶる演技に今後も注目だ。

参照
※ https://www.nhk.jp/p/hikarukimie/ts/1YM111N6KW/movie/

(文=片山香帆)

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