「おしゃれは足元から」という言葉がありますが、60歳からの着こなしにおいても、かなめとなるのは「靴」。グッドエイジスタイリストの花本幸枝氏も「60代にとって、ファッションの肝であり、健康にも関わる靴は、もっとも投資価値が高いもの」と断言します。花本氏の著書『今日からもっと自由に楽しく 60歳からの着こなし』より、装いを“格上げ”する靴の選び方を紹介します。
ファッションアイテムで、いちばん投資価値があるのは「靴」
おしゃれかどうかは、靴で決まるといっても良いくらい、着こなしのかなめになります。
最近はシンプルな洋服が多いので、着ただけではコーディネートは決まりません。そうかといって、インパクトのある靴を選べば良いわけではありませんよ。これも全体のバランスですね。
これまで色々な洋服を着て、着こなしを整えるのは靴だとわかりました。おしゃれな人が靴にこだわるのは、その効果を知っているからです。
おしゃれな靴というと、ヒールの高い有名ブランドが浮かぶかもしれませんが、私たち世代には向いていません。ここでいちばん大事なのは、「ラクでおしゃれ」な靴です。いくらコーディネートが素敵でも、靴が痛くて歩けなくては元も子もありませんよね。ラクでおしゃれな靴こそが、私たち世代にとって、もっとも投資価値が高いものです。ファッションの肝であり、健康にも関わる靴は、しっかり選んでほしいアイテムです。
スニーカーがトレンドになって、本当に良かったです。
トレンドならいずれ廃れてしまうでしょうか? いいえ、大丈夫です。ファッションも快適さを求め続けますから、どんな時代になっても、スニーカーがなくなることはありません。
そうはいっても、どこにでもスニーカーで出かけるわけにはいきません。
ここでは、おしゃれを格上げするためのスニーカーと、冠婚葬祭に必要な黒いパンプスに絞って、ご紹介しましょう。
「白スニーカー」をすすめる理由
今、私がいちばん履いているのが、白いスニーカーです。たくさんのコーデに白スニーカーを合わせました。それくらい便利でおしゃれなアイテムです。今はスポーツブランドにかかわらず、いろんなブランドがスニーカーを出していますから、色々選べます。
おすすめなのは、ベーシックでシンプルなもの。本革ならより高級感が出て、大人のスニーカーとして申し分ありません。
選ぶポイントは、ソールが3センチ以上のもの、キャンバス地のような布ではなく、革(合皮でも良い)を選んでください。それだけで今までの靴と同じ感覚で履いてもらえます。最近はスニーカーでも、厚底でより足長効果が期待できるものもありますよ。
おしゃれでラクな白スニーカーを一足持っておくと、コーディネートが簡単に決まります。今までならバレエシューズのような女性らしい靴を合わせることが多かったかもしれませんが、今の気分ならワンピースにも、キレイめスニーカーを合わせましょう。おしゃれでラクなコーデのできあがりです!
[写真1]ワンピースに白スニーカーを合わせたコーディネイト 出所:『今日からもっと自由に楽しく 60歳からの着こなし』(大和出版)より抜粋
ラクなだけじゃNG!冠婚葬祭用の「黒パンプス」の選び方
次に用意していただきたいのが、黒いパンプスです。
みなさん、喪服はちゃんと用意されても、パンプスはあるものを履けば良いと思っていませんか? 以前は大丈夫だったのに、久しぶりに履いたら痛くて歩けなかったと、よく聞きます。足裏の筋肉も年齢と共に低下して、アーチが崩れて急に痛くなることはよくあるそうです。日頃、ラクな靴しか履いていないと、気づきませんよね。
昨年、義父の法事用に、ラクでキレイなパンプスを探しました。黒いパンプスはたくさんありますが、扁平足で外反母趾のうえ、左右差が4ミリも差がある私に合うものを探すのはなかなか大変です。
ラクな靴は、あります。でも冠婚葬祭のきちんとした席だからこそ、キレイなパンプスを履きたいです。
[写真2]冠婚葬祭にも重宝するラクでおしゃれな黒パンプス 出所:『今日からもっと自由に楽しく 60歳からの着こなし』(大和出版)より抜粋
ラクな靴……で思いつくのが、「コンフォートシューズ」と呼ばれる黒っぽいスニーカーのような靴です。年配の方が履いているのをよく見かけますが、どんなにおしゃれな装いでも、あれを履いただけで、残念なおばあさんに見えてしまいます。
そのくらい、靴はコーディネートのイメージを決めてしまいます。ラクでおしゃれなパンプスは、必要です。
花本幸枝
グッドエイジスタイリスト