『君たちはどう生きるか』オスカー授賞! 鈴木敏夫プロデューサー、宮崎監督は「興奮していました」

『君たちはどう生きるか』オスカー授賞緊急会見に登場した鈴木敏夫プロデューサー クランクイン!

スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが11日、『君たちはどう生きるか』オスカー授賞に際して行われた緊急会見に出席し、受賞時の宮崎駿監督の様子や、次回作について語った。

日本時間3月11日に行われた第96回アカデミー賞授賞式。長編アニメーション映画賞にノミネートされていた『君たちはどう生きるか』は、同じくノミネートされた『マイ・エレメント』、『ニモーナ』、『ロボット・ドリームズ』、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』を抑えてオスカーを獲得。宮崎駿監督作品は、『千と千尋の神隠し』、『ハウルの動く城』、『風立ちぬ』に続く4度目のノミネートで、『千と千尋の神隠し』以来21年ぶり2度目の受賞となった。

鈴木プロデューサーは発表前に「宮崎は日本男児として、喜びは見せてはいけないと話していた」ことを明かすが、いざ受賞の知らせを受けたときは「彼は近くのアトリエにいたので、電話で話したのですが、興奮していました。以前は『俺は(受賞は)気にしていないから』なんて言っていましたが、結構欲しがっていたのかなと感じましたね」と発言し会場を笑わせていた。

下馬評では『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』との一騎打ちと言われていたが、見事栄冠を勝ち取った。鈴木プロデューサーは「基準が分からないので、何とも言えない」と話しつつも「日本のお客さんよりもアメリカの方が受け入れやすかったのかもしれません」と語ると、「この作品は旧約聖書の黙示録のイメージ。宮崎の黙示録なんです」と解釈を述べ「だからこそ、アメリカでは理解しやすかったのかもしれません」と解釈を提示する。

『風立ちぬ』で引退を表明していた宮崎監督の10年ぶりの長編復帰作で2度目のオスカーを受賞した。鈴木プロデューサーは「もう二度と作らないと会見で言ったことを反省していたんですよ」と宮崎の心情を述べると、「この作品を最初に立ち上げるとき、宮崎は『(引退を表明したのに復帰することが)みっともないのは分かっているけれど、もう一度作りたい』と話したんです。だからこそ、もう世間には出ないようにしているのだと思う」と公の場へ登場しない理由について語る。

さらに鈴木プロデューサーは「前作から長い時間が経ったので、この映画が公開されるまで、宮崎は『ちゃんと受け入れてもらえるのだろうか』といつも以上に心配していた。日本での興行も気にしていたんです」と打ち明けると、興行的にも評価的にも結果が出たことに安堵した表情を浮かべていた。

次回作については「まだ未定」と語った鈴木プロデューサー。『君たちはどう生きるか』は構想を含めると10年を要した。「かなり疲労している」と自身と宮崎監督の現状を述べるも「宮崎はとても元気です。いまもジブリパークの仕事で描き続けています。その絵を見ていると衰え知らずだなと思った」と元気であることを強調していた。

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