オープンなキングの庭 ベイヒルには“アレ”がない

ベイヒルは高級クラブなのに“敷居”が低い?(撮影/田辺安啓(JJ))

故アーノルド・パーマーの名を冠したPGAツアー「アーノルド・パーマー招待」は、毎年フロリダ州オーランドのベイヒルクラブ&ロッジで開催される。ベイヒルで大会が開かれるようになったのは1979年から。ゴルフクラブは1961年に開場しており、すでに60年以上の歴史がある。

コースと住宅地が隣接(撮影/田辺安啓(JJ))

ゴルフ関係者ならこの大会そのものをイメージする「ベイヒル」というワードも、オーランド住民にとってはこの地域、つまりオーランド市の一角を指す言葉になる。ゴルフクラブとはいうものの、コース周辺に住宅が並ぶ“ゴルフコミュニティ”であり、米国で住宅地が開発される際のポピュラーな構造だ。

生前は大会期間中のコースに姿を見せていたアーノルド・パーマー※2005年撮影(撮影/田辺安啓(JJ))

生前のパーマーもベイヒルに住んでおり、コースからその姿を見かけるという話をよく聞いた。オーランド近隣では、女子ツアーの開幕戦が行われるレイクノナG&CCや、かつてタイガー・ウッズが拠点にしていたアイルワースG&CCも有名。レイクノナにはアニカ・ソレンスタム(スウェーデン)や畑岡奈紗、アイルワースにはMLB選手を含めた著名人が数多く居を構えている。松山英樹もベイヒルからほど近いエリアに住んでいる。

大会期間中でなくても入れます(撮影/田辺安啓(JJ))

先に挙げた有名ゴルフクラブにはあって、ベイヒルにはないものをご存知だろうか? それはセキュリティゲート。レイクノナやアイルワースでは一般道から住宅地に入る場所に警備員のいるゲートがあり、IDの提示を求められる。プレー予約や住民とのアポイントメントなどがない限り入ることができない。

アーノルド・パーマーといえば傘のロゴ(撮影/田辺安啓(JJ))

治安維持の設備として米国では一般的なのだが、高級コースでもあるベイヒルにはそれがない。簡単に言ってしまえば“誰でも入れる”のだ。さすがにクラブハウスは難しいものの、プロショップでアーノルド・パーマーの傘のロゴが入った商品を買うことができる。プロショップの従業員も「よく観光客も来ますよ」と話す。

12番ホール横に住むマーガレットさん(撮影/田辺安啓(JJ))

12番ホール横の住宅に住むマーガレットさんに話を聞くことができた。「たしかに昔からセキュリティゲートはありません。安全を無視しているわけではなく、住民は『セキュリティゲートを設けるよりもコミュニティ内を巡回する警備員を増やした方が安全である』ということで合意しています」

開かれた雰囲気のあるベイヒルと、誰からも愛されたパーマーの優しい人柄がオーバーラップしているように思えたのは、気のせいだろうか?(JJ田辺カメラマン)

ギャラリーでにぎわうプロショップ(撮影/田辺安啓(JJ))
生前アーノルド・パーマーも住んでいたベイヒル(撮影/田辺安啓(JJ))
プロショップの入口(撮影/田辺安啓(JJ))
ロゴ入りのグッズが並ぶ(撮影/田辺安啓(JJ))

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