〔国内〕2024年2月の災害を振り返る

2024年2月に発生した国内での大規模な災害、事故・事件の案件について振り返ります。

※被害の内訳については、原則的にレスキューナウによる情報取りまとめ時のものです。それぞれの記事の最終更新日以降の状況については反映されていないことがあります。

●2月
【自然災害】南岸低気圧の影響により関東甲信地方で警報級の大雪
[被害]負傷者250人以上
2024年2月5日から6日にかけて、低気圧が発達しながら本州の南岸から日本の東へ進み、関東甲信地方の上空に寒気が流れ込んだ。この影響で、関東甲信地方では広く大雪となり、気象庁は東京23区を含む関東甲信地方のすべての都県に大雪警報を発表した。5日の24時間で長野県飯山で46cm、群馬県草津で34cm、東京都東京でも9cmの積雪を観測した。この大雪の影響で、東京、埼玉、神奈川、千葉などで歩行中の転倒や車のスリップ事故により250人以上が負傷したほか、交通機関にも大きな被害が及んだ。
鉄道ではJR中央本線で、大雪による倒木や倒竹の影響により、複数の列車が駅で停車したままとなり、多くの乗客が列車の中で一夜を過ごした。東京23区内でも、新交通システム「ゆりかもめ」で2本の列車が立ち往生し、乗客550人が汐留駅まで歩いて移動した。
高速道路では各社が5日の昼前から「予防的通行止め」を実施し、大きな事故はなかった。一方で首都高速道路では除雪に時間がかかった影響で、すべての路線で通行止めが解除されたのは7日の16:30と、50時間以上通行できない区間もあった。このため、迂回先の道路が混雑するなど運送業などを中心に大きな混乱を招いた。

【自然災害】令和6年能登半島地震から2か月 ライフラインを中心に影響続く
[被害]死者241人 負傷者1299人 家屋損壊7万7703軒
2024年1月1日16:10頃に発生した令和6年能登半島地震(M7.6、最大震度7(石川県輪島市、志賀町))から3月1日で2か月が経過した。
石川県能登地方では、2020年12月以降地震活動が続いていたが、1月1日のM7.6の地震以降は、震源域が能登半島及びその北東側の新潟県佐渡沖にかけての海域を中心として、北東~南西方向に150km程度の範囲に拡大した。気象庁は、1月1日のM7.6の地震発生当初と比べて、震度5弱以上の大きな揺れを伴う地震の発生する可能性は低くなってきたものの、地震活動の活発な状態は続いているとして今後の地震活動に注意するよう呼びかけている。
非常災害対策本部によると、2月28日14:00現在、この地震による人的被害は、死者が石川県で241人、負傷者が石川県、新潟県、富山県を中心に1299人となっている。
また、物的被害では、家屋損壊が石川県、新潟県、富山県を中心に7万7703軒に及んでいるが、最も揺れの大きかった石川県(家屋損壊4万6000軒余り)に次いで、新潟県(同1万9000軒余り)の被害も大きくなっている。新潟県では、県全体の家屋損壊の約7割が新潟市に集中しているが、これは液状化現象が発生したことによるものとみられており、特に地下水面の浅い元の河川の流路跡や池などを埋め立てたところで大きな被害がみられる。
ライフラインについては、停電が石川県内で地震発生当時の約4万軒から710軒まで大きく減少した一方、断水は地震発生当時の約11万5000軒からは減少したものの、依然として2万軒余りに影響が出ており、珠洲市では現在も市内のほとんどの地域で断水が続いている。石川県は断水について、多くの地域では3月中の仮復旧を目指して復旧作業を進めるとしている。
一方、復興に向けた動きも出てきている。
このうち、仮設住宅については、被害の大きかった輪島市や珠洲市など石川県能登地方の市町村も含め建設や完成・入居が順次進められている。石川県内での仮設住宅は2月末までに約3500戸が着工されたが、入居希望は7000件超となっていることから追加着工が急がれている。しかし、山間部の多さや道路の被災もあって用地の確保や早期の建設促進に課題が残っている。
また、北陸地方の4県(新潟県、富山県、石川県、福井県)では、3月16日から4月26日まで旅行者を対象に旅行・宿泊料金の割引を支援する北陸応援割を実施することも決まった。このうち石川県では、被災者の2次避難先として県内の宿泊施設が使用されていることから、宿泊施設側が2次避難者の受け入れを続けながら一般旅行者の宿泊にも対応できるような制度設計が図られた。

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