慣らし保育の期間ってどのくらい? 変更できるの? 復職前のママの悩みに専門家が回答

引用元:kuppa_rock/gettyimages

今回のテーマは、慣らし保育についてです。
4月入園の慣らし保育を控えているママ・パパもいらっしゃることでしょう。慣らし保育については、自治体や園ごとに違いがあるようで、とまどうことも多いようです。
今回は、口コミサイト「ウィメンズパーク」から先輩ママの慣らし保育事情を紹介するとともに、「保育園を考える親の会」アドバイザーの普光院亜紀さんに、慣らし保育にまつわる疑問についてアドバイスいただきました。

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慣らし保育って入園直後からできないものなの?

――まずは、あるママの声から紹介します。

■ 復職の2週間前からしか、慣らし保育ができないと言われショック!
「4月末に育休から復帰予定なのですが、復職日の2週間前からでないと慣らし保育を始められないと保育園から言われました。
私の場合は4月の4週目からと言われ、驚いています。余裕を持って慣らし保育をしたくて、月末復職にしていますし、4月の保育料も満額払うのに納得できません。
慣らし保育中に発熱して休みが続くこともあるし、余裕を持たせたいと伝えたのですが、慣らし保育が長いと子どもが泣く期間が伸びて可哀想と言われました。慣らしている間は母親が家にいるのが分かるから子どもも泣くが、母親が仕事に行くと雰囲気が変わるので子どもも泣かなくなるというのですが、そんなことありますか?月末復帰の皆様、慣らし保育はいつからどれくらいの期間の予定ですか?」

こんなママの疑問に、先輩ママからさまざまな意見が届きました。

■ 5月復職でも入園式翌日から登園できました
「5月末復職でも、慣らし保育は入園式翌日からしてもらえました。園にもよると思うので、自治体の保育園関連部署に話をして、早めに進めてもらいたい旨をお伝えしてはいかがでしょうか?」

■ 慣らし保育の期間は自治体の規定で決まっているのでは?
「慣らし保育の期間は、その市の規定で決まっているのではないかと思います。
申請の時に、入園は育休復帰の何週間前からなどと説明がなかったですか?私の住む市では、復帰予定日の1ヶ月前から入園可能なので、慣らし保育は1ヶ月ほどありました。ただ、うちの子は4月前半の生まれで、秋の新規入園の申し込みでの申請しかできず、3月の入園は不可。4月に入園して、慣らし保育は数日でしたが、すぐに慣れました。慣れるかどうかは、そのお子さん次第だと思います」

■ 園の都合で、慣らし保育期間をずらすのなら、自治体に相談しても
「役所の保育課に電話で『自己都合ではなく、園の都合で預かり日が4週目になると言われたのですが、預かり日数が少ない場合に保育料減額の申請をするにはどうすればよいでしょうか』と問い合わせしてみては。
また、親が家にいるのか仕事なのかを子どもが分かるのかは不明ですが、私の場合は、仕事復帰日の朝に熱が出て復帰初日から休みました。慣らし中は元気だったし、前日になんの前触れもなく、急な発熱でした。私以外にも復帰初日に呼び出しがあって早退してるママが職場に数人いるので、何か感じ取ってはいるのかなと思います。
ただ、0歳の預け始めから泣かない子もいるし、3歳になっても別れ際に泣く子も上の子のクラスに数人いるので、ママと離れて泣くかどうかは子どもの性格次第だと思います」

■ 一気に新入園児を慣らすより、分けたほうが丁寧に見てもらえる
「それが保育園のやり方で、2週間で慣らしてフルで預かってくれるようにするのであれば、お任せしてはどうでしょうか?
たしかに2週間で慣れる子もいるし、10人いたら、一度に10人見るよりは、前半5人、後半5人でずらしたほうが、保育士4人で5人の子どもを見られるので、早く馴染むかもしれないですね。保育料満額云々は関係ないと思います。そんなこと言ったら、最初は午前中だけなんだからフル払わないとか言えますし。保育園はサービス業じゃないです。料金を払った分だけサービスを提供してくれる業者じゃなく、福祉です。向こうは断る権利がないし、こちらが料金を払えば追加要求が通るものでもありません。保育園は第二の家庭、保育のパートナーです。保育園にいる間のことは、保育する側のやりやすいように合わせることも必要ではないでしょうか」

園側が保護者や子ども状況などを見て判断するけれど押しつけはNG

この問題は自治体や園ごとに事情が異なるので、一括りにまとめられるものではありませんが、そもそも、なぜ慣らし保育があって、どんな規定があるのでしょうか。
慣らし保育の基本とわからないことがあった場合の対応方法などについて、保育園事情にくわしい普光院亜紀さんに聞きました。

「慣らし保育は、子どもが少しずつ環境に慣れるために行うものです。特に、0・1歳児は、養育者との愛着関係が築かれて『人見知り』が激しくなりがちな時期なので、なるべく緩やかに慣れさせたいところです。
園での事故も入園から間もない時期に多いことがわかっており、無理はしないほうがよいでしょう。

とはいえ、期間が長ければいいというものでもありません。通常は子どもの慣れ方を見て、園のほうで期間を決めます。復職時の入園であれば、1〜2週間かけるのが一般的です。早く慣れることができるようなら短い期間にしたほうが、園生活にスムーズに移行できるでしょう。
転園の場合は、保護者はすでに復帰していますので、希望すれば短くするように配慮してくれる園もあります。

慣らし保育の期間や方法は、同じ自治体でも園によって違いますし、お子さんによっても違います。
通常は、保護者の希望を聞きつつ、無理のないように園のほうで考えてくれるはずです。園が保護者や子どもの都合や状況を聞き取って、『このあたりから始めましょうか』と提案してくれる場合が多いでしょう。不安なことがあれば、なんでも聞いてみるとよいでしょう。

ただし、慣らし保育の開始日を園の都合だけで決めるのは正しいやり方ではありません。
制度としては、保護者の復職日から逆算して、慣らし保育の開始が必要と考えられる日から始めるのが正しいと言えます。園のやり方にもよりますが、復職日の1〜2週間前から始める場合が多いでしょう。
慣らし保育期間は、就労期間に含まれると考えられていて、保護者が育児休業中でも『保育の必要性』が認められています(内閣府『自治体向けFAQ』55番参照)。
園が一律に下旬からしかできないというのは、制度に沿っていない可能性がありますので、市や区の窓口に相談してみるとよいでしょう。

なお、仮に慣らし保育が月の下旬から始まったとしても、保育がなかった時期の保育料は戻りません。長期に休園する場合やコロナで休園する場合などとは違い、通常の状態での保育料は月単位で考えられています。休んだ期間があっても、保育士は基準どおりに配置しなければならないので、そこは理解する必要があります。
ただし、実費等が徴収されている場合は、日割りでの返還を求めることは可能と思われます」(お話/普光院亜紀さん)

慣らし保育については、自治体や園によってやり方が違ったり、子どもの性格にもよるので一概には言えないところがあるようです。ともあれ、保育園に不信感を持ってしまっては、その後の子どもの保育園生活にも支障が出そうなので、疑問なことや不安なことがあったら、直接相談をしてみるといいですね。
(取材・文/橋本真理子)

※文中のコメントは「ウィメンズパーク」(2022年1月末まで)の投稿を再編集したものです。
※この記事は「たまひよONLINE」で過去に公開されたものです。
※記事の内容は2022年4月の情報で、現在と異なる場合があります。

著書『後悔しない保育園・こども園の選び方』(ひとなる書房)

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