【来春新設】文系出身者の理系の学びもサポート! 神戸女学院大学に「生命環境学部」誕生

2025年に創立150周年を迎える神戸女学院大学では、現在の「人間科学部 環境・バイオサイエンス学科」を改組して、2025年4月に「生命環境学部 生命環境学科」が開設の予定です。新学部の取材会に行ってきました。

受験は文系科目だけでも可能 入学後に理系科目の基礎を学ぶ機会も

会場の総務館は、重要文化財である建築家ヴォリーズ設計の建物です。

最初に、環境・バイオサイエンス学科長の高岡素子教授からごあいさつが。「本学は、リベラルアーツ教育とキリスト教主義を軸に、文理を融合した総合知と専門的な知識とを得て〝Well Being〟に貢献できる人材を育成するのが目標です。新学部では、かつての家政学部の伝統も引き継いで、健康や食、住居など、自分たちの暮らしの身近な疑問に理系的なセンスで取り組み、その積み重ねによって社会や人々の幸せに貢献したいと思っています」。

出典:リビング大阪Web

データ処理・分析の「データサイエンス」をベースとして、ICT活用やAI、プログラミングなどの「情報科学」、生物保全やゲノム解析に基づく生態学、建築などの「環境科学」、食品科学や細胞生物学などの「生命科学」、それらを分かりやすく伝える科学教育などの「サイエンスコミュニケーション」の4つの分野を自由に学ぶことができるという同学部。理系の学部ですが、現在の人間科学部環境・バイオサイエンス学科と同様に、文系の科目のみでも受験することが可能で、入学後には「数学入門」や「化学入門」といったリメディアル教育の機会もあるそうです。「文系が得意で過ごしてきたけれど理系の中にも興味のある領域を見つけた」という人も、幅広く学べるチャンスがあるのですね。

ヴォリーズ建築の中で、二級建築士の受験資格が得られるプログラム

注目の一つが、二級建築士の受験資格を得られることです。建築分野を立ち上げるにあたり、京都工芸繊維大学デザイン・建築学系准教授の笠原一人さんがアドバイザーを務めています。「二級建築士の受験資格を得るため、構造力学や建築法などを総合的に学んでいく中でも、建築の歴史や保存再生と木質建築の2つに力を入れたい」と笠原さん。古いものを壊すのではなく生かしながら使っていく「保存再生」や、もともと生命体である木を構造体や外装・内装に使った「木質建築」は、自然豊かな岡田山の歴史的なヴォリーズ建築の中で学ぶのにふさわしいテーマ、とのことでした。

また、「建築学は、工学部の一つのジャンルとして分類されていますが、建築を考える上で数学はほとんど使いません。それよりも、人はどうやって寝るのか、ここに壁があるとどんな心理になるかなど、考えることがたくさんあります。建築学は、人間とその回りにある環境を考える、“人間学”だと思っています」とも。実は最初、「生命環境」と「建築」のつながりがピンと来なかったのですが、お話を聞いて少しわかったような気がしました。

出典:リビング大阪Web

左から、特別客員教授・西靖さん、動物生態学専門の教授・高橋大輔さん、食品科学専門の教授・高岡素子さん、4月から専任講師に着任する高木俊人さん、建築分野アドバイザーの笠原一人さん。生命環境学部の魅力や論理的思考の必要性などを語り合っていました

取材会の進行は、毎日放送アナウンサーの西靖さん。2023年4月から、特別客員教授としてコミュニケーション論を教えています。「情報や報道の番組でも、理系的な知識や考え方は欠かせません。正しく情報を取り込み正しく還元する、情報リテラシーやコミュニケーション能力の向上は、社会全体の底上げにつながります」と話していました。

これからの時代の新しい学びに注目ですね。

出典:リビング大阪Web

◆神戸女学院大学 https://www.kobe-c.ac.jp/

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