相手は“商品”にも“サービス”にも興味がない!?…副業をはじめる前に知っておきたい「顧客の心理」

(※写真はイメージです/PIXTA)

近年、YouTubeやインスタグラムなどSNSを使って、自分の「好きなこと」をビジネスにつなげている人が増えています。そこで、副業をはじめる前に理解しておくべき「顧客の心理」について、5,000人以上に副業のやり方を伝授してきた宮中清貴氏の著書『お金も知識も自信もない私に、稼げる副業を教えてください!!』(かんき出版)からみていきます。

人は「自分がどうなれるか」にしか興味がない

【登場人物】

宮中先生……SNSを使ったビジネスの組み立て方や集客方法を教えるコンサルタント兼、起業家。幼い頃から太りやすい体質で、社会人2年目に10kgの減量に成功。自身のダイエット方法をSNSで教えるビジネスをはじめ成功を収める。ひょんなことから、はじめくんに副業の授業を行うことに。

田中はじめ……さえない営業職サラリーマン。営業成績はいつも最下位争い。後輩には “はじめちゃん”と呼ばれ、いじられる日々。今後の社会人人生と上がらない給料に、将来を憂いている。趣味はPCとゲーム、カメラ、YouTube視聴で、彼女なし。

宮中先生:これから副業でビジネスを始めるうえで、お客様のことを詳しく知って理解しないとならない。最初に知るべき衝撃の事実なんだけど、それは、お客様は、はじめくんや、はじめくんが提供する商品やサービスには一切興味がないということなんだ。

田中:え!! それってどういう意味ですか? お客様は、サービス提供者やサービスそのものに惹かれて、購入するんじゃないんですか? 実際に、僕がゲームの教材や恋愛の講座に参加したのは、興味があったからです。

宮中先生:うん。はじめくんの言いたいことは、よくわかるよ。でも、それでもお客様は「サービス提供者や提供する商品サービスには一切興味がない」んだ。成功するためには、それを理解する必要があるよ!

田中:全然納得できないです。先生、教えてください。

宮中先生:実は、はじめくんを含む世の中の多くの人は、興味があるから商品やサービスを購入していると思い込んでいる。

田中:思い込んでいる?

宮中先生:そうなんだ。実際に、はじめくんが恋愛講座を受講したいと思ったのは、なんでかな?

田中:リサーチしている最中に、『恋愛ベタ男子でも彼女を作る方法』というタイトルを見つけて、すごく興味が惹かれて参加しました。

宮中先生:そうだね。はじめくんは、興味があるからこそ参加したんだと思っているよね。でも、実はそうじゃない。ここが重要なポイントなんだ。

実は人間は、自分自身のことにしか興味がない生き物なんだよ。それは、自分がどうなれるのかにしか興味がないとも言い換えられる。言っている意味がわかるかい?

田中:えっと……。どういうことですか?

購入の動機は「自分への期待」→「サービスへの興味」の順番

宮中先生:順を追って説明していくね。はじめくんは恋愛講座を見つけたとき、「僕にも将来結婚を前提とした彼女ができるかもしれない」と思ったんじゃないかな?

田中:確かにそう思いました!

宮中先生:そうだよね。まずは、はじめくんが「結婚を前提とした彼女ができるかもしれない」と“期待した”ってことが、最初なんだ。自分がどうなれるかが一番。そのあとに、どんな人が教えているんだろう? どんな内容なんだろう? と考えたはずだよ。

そして実際は、“本当に短期間で彼女ができるなら”教えている講師のことよりも、教えてもらえる内容に興味を持ったんじゃないかな?

田中:僕は、講師とその講座の内容に魅力を感じたから受講したと思っていたんですけど……。

宮中先生:「この人の、この講座は、本当に役立つ情報を自分に提供してくれるのか」と、「信用できるかどうか」の判断材料として、講師のプロフィールや自己紹介文を確認したり、口コミをチェックしたりしていたんだと思うよ。

田中:「この人の講座を受けたい」と思ったのは、その人が教えてくれる内容なら、自分の役に立ちそうだと判断したってことなんですね。

宮中先生:そうなるね。その恋愛講座の講師の自己紹介には、こんなことが書かれていたんじゃないかな?

“自分も10年以上彼女がいなくて恋愛ベタだったけれど、あることに気づいてそれを実践したら、すぐ彼女ができた。たとえその彼女と別れても、またすぐに別の彼女ができるようになり、その方法を他の人に教えて実践してもらったら、その人たちも高確率で彼女ができています”。そして“高確率で結婚を前提とするお付き合いができる人が増えています”みたいな……。

口コミやレビューには、「教えてもらったことを実践したら、本当に彼女ができました」「僕でも女性とデートすることができました」「結婚できました!」って感じのことが書いてある。これなら多くの人は、それを信用して参加する決断をすると思うよ。

田中:……本当に、その通りです……。先生! エスパーですか?

商品・サービスを広報する際は「お客様の未来の姿」にアプローチを

宮中先生:このことで、はじめくんに何を伝えたいのかと言うと、商品やサービスのタイトルや、SNSの発信では、「お客様が未来でどうなれるのか?」というお客様が知りたい情報を提供しないといけないってこと。そうすればお客様は、必要な情報をくれるはじめくんをフォローしたり、セミナーに来てくれたり、仕事をオファーしたりする。

田中:想像を遥かに超える考えのもとに、作られているんですね!

宮中先生:はじめくんが僕のところへ来た理由だってそうだろう? そして、読者も同じだと思う。「副業で稼げるようになるかもしれない」って、そうなったときの未来の自分を想像し、期待して、ここに来てくれたり、記事を読んでくれているはずだよ!

田中:確かに、そうです……。

宮中先生:お客様を理解する最初の1歩として、お客様は自分のことにしか興味がないと、しっかり頭に叩き込もう!

田中:はい! わかりました!

宮中 清貴
株式会社ラスディ代表取締社長

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