「今の法律でえん罪被害者は救えない」 超党派の国会議員が再審法改正を目指し議連設立

再審法改正の必要性を呼びかける柴山昌彦・衆院議員(中央)ら議連の国会議員(3月11日、東京都千代田区の衆議院第一議員会館で、弁護士ドットコムニュース撮影)

国会議員が政党を超えて再審法の改正を目指す「えん罪被害者のための再審法改正を早期に実現する議員連盟(議連)」が3月11日、発足した。政府任せでは見直しが進んでこなかった法律の不備を改善する取り組みがようやく動き出そうとしている。

再審の手続きは刑事訴訟法に定められているが、具体的な記載が乏しく再審が始まるまでに時間がかかりすぎるなどの問題点が指摘され続けてきた。

この日、東京都千代田区の衆議院第一議員会館で議連の設立総会があり、会長に就任した自民党の柴山昌彦・衆院議員が「無実の罪で刑に処せられた方々は筆舌に尽くしがたい苦労をする。これまで再審法改正について様々な議論がされてきたが、なかなか具体的な成果が出てこない。ぜひみなさまのパワーを法改正という形で結実させていきたい」とあいさつした。

●袴田事件で再審開始決定の裁判長「証拠開示の規定があればもめない」

議連は今後、えん罪被害者や支援団体から話を聞くなどして今の法律の課題や改善すべき点を整理していく方針という。「山が相当高い」として、改正を実現する目標時期は明らかにされなかった。

設立総会では、袴田事件をめぐって静岡地裁の裁判長として再審開始の決定を出した村山浩昭弁護士が講演した。

袴田事件の再審をめぐる議論でポイントとなった衣類のカラー写真が再審請求から30年経ってようやく開示されたことに触れ、「裁判官は相当確信を持たないと取り調べなどをすることは難しいが、証拠開示の規定があればもめない」と述べた。

また、一旦再審開始決定が出ても検察官が抗告することで再審が始まるまでに長い時間がかかる点を指摘した上で、「今の日本の刑事訴訟法ではえん罪被害者は救われない。運用で解決するのは限界。どうしても改正が必要だ。どうか国会議員には力を合わせて良い改正案を練ってほしい」と訴えた。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)

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