「えん罪は国家による最大の人権侵害」再審法改正へ議員連盟発足 88歳迎えた袴田巖さんの姉ひで子さん「法改正の実現の前進に大いに期待」

58年前、静岡県旧清水市(現静岡市清水区)で一家4人が殺害された事件で死刑が確定し、再審=やり直しの裁判が行われている袴田巖さんが88歳の誕生日を迎えました。また、再審法の改正を目指す議員連盟が発足しました。

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袴田巖さんは3月10日、88歳の誕生日を迎え、姉のひで子さん(91)と暮らす浜松市内の自宅で支援者などから祝われました。プレゼントとして、袴田さんの好きな緑色のシャツや爪切りなどが贈られました。

<袴田巖さん(88)>
「爪切りで、健康を維持するということも必要なんだ」
Q何歳になりましたか?
「年はとらないんだねえ。23(歳)だかで、終わったんだね、年をとるなと。年を重ねるなと」

袴田さんをめぐっては、2023年10月に再審が始まりましたが、死刑執行の恐怖のもとで、長年にわたって拘置されていた影響で、釈放から約10年となるいまも、意思の疎通は難しく、裁判への出廷は免除されています。

<袴田さんの姉・ひで子さん(91)>
「(釈放された)10年前は全然ものを言わない。自分の世界に入って閉じこもっちゃってたでしょ。それが、こうして話をする。100歳までとは言わないが、元気で長生きしてもらいたいと思う」

「えん罪は、犯人とされた者やその家族の人生を大きく狂わせ、時にはその生命を奪いかねない国家による最大の人権侵害である」

袴田さんの再審開始までに40年以上かかるなど、審理の長期化が問題視される中、冤罪被害者の速やかな救済につなげるための超党派の国会議員による議員連盟が3月11日、発足しました。自民党の柴山昌彦元文部科学大臣や国民民主党の玉木雄一郎代表なども名を連ねています。

再審の制度は刑事訴訟法に規定がありますが、70年以上にわたり一度も改正されていません。そして、通常の裁判と異なり、審理の進め方などが具体的に定められておらず、日弁連などが法改正を求めてきました。

袴田さんの姉・ひで子さんは、議員連盟の発足を受け「再審法改正の実現の前進に大いに期待しています」とコメントしています。

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