【慰謝料は収入に含まれる?】生活保護の受給中に「交通事故」に遭いました。受け取った「慰謝料」は収入とみなされますか?

収入の増減があったときは届け出が必要

厚生労働省によると、生活保護を受ける要件として「生活保護は世帯単位で行い、世帯員全員がその利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することが前提でありまた、扶養義務者の扶養は、生活保護法による保護に優先します。」とされています。

支給される保護費として、厚生労働大臣が定める基準で計算される最低生活費と収入を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、最低生活費から収入を差し引いた差額が保護費として支給されるようです。

最低生活費は最低限の生活を送るために必要な費用のことで、世帯人数や年齢・住んでいる地域によって算出されるものです。

また、生活状況に応じて必要な扶助が加算されるため、世帯によって金額は異なります。

収入がまったくない場合は、最低生活費の金額分の生活保護費が支給され、生活保護費に満たない金額の収入がある場合は、その差額が支給される仕組みです。

世帯収入が増えたり減ったりすると支給される保護費の金額が変わることになるため、その都度、福祉事務所への届け出が必要です。

収入が増加したにもかかわらず届け出をしなかった場合は不正受給になる可能性があるため、気をつけなければなりません。

交通事故の賠償金は「収入」とみなされるのか?

不正受給を防ぐためにも、どのようなものが収入とみなされるのか確認しておきましょう。

厚生労働省によると、収入として認定されるものには、就労に伴う収入のほか、恩給や年金・仕送り・贈与などが挙げられます。

一方「被保護世帯の自立更生のためにあてられる額」に該当するものについては、生活保護上、収入として認定しないとされているため、返還の必要はないと考えられます。

交通事故により受け取った慰謝料や示談金などの賠償金は「自立更生のためにあてられる額」には該当しないため、収入認定されると判断していいでしょう。

賠償金の全額を返還しなければならないのか?

生活保護法第六十三条には費用返還義務について定められており、資力があるにもかかわらず生活保護を受けた場合「保護の実施機関が定める額」を返還しなければならない旨が記載されています。

つまり、交通事故の賠償金を受け取ってもその全額を自治体に返還する必要はなく「受給した生活保護費の範囲内」で返還すればいいものと考えて差し支えないでしょう。

交通事故の賠償金は生活保護費の範囲内で返還を

生活保護を受給している間は、収入に増減があった場合、すみやかに福祉事務所へ届け出る必要があります。

交通事故に遭い、慰謝料や示談金などの賠償金を受け取った場合も「収入」とみなされる可能性があるため、忘れずに届け出をしましょう。その際は受給した生活保護費の範囲内で返還を求められる可能性が高いので、その場合は従いましょう。

出典

[厚生労働省
生活保護制度](https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/index.html)
生活保護法による保護の実施要領について 第8収入の認定
デジタル庁e-GOV法令検索 生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第六十三条

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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