洪水で大量の本が浸水、苦境の出版会社を救う宅配業者の行動が注目集める―中国

8日、中国メディア・北京青年報は、昨年夏に発生した豪雨で大きな被害を受けた河北省の出版社を救うべく、宅配便業者が取った行動が注目を集めていることを報じた。

2024年3月8日、中国メディア・北京青年報は、昨年夏に発生した豪雨で大きな被害を受けた河北省の出版社を救うべく、宅配便業者が取った行動が注目を集めていることを報じた。

記事は、中国のネット上で先日、宅配便の荷物を受け取った際に封筒に「河北省涿州市の被災図書をリサイクルした封筒です」との文字が書かれていたことをあるネットユーザーが紹介して話題になったと紹介。この宅配便業者の担当者が8日、北京青年報に対して経緯を明かしたと伝えた。

担当者によると、昨年7月に中国を襲った台風5号の影響により同市では長時間にわたり強い雨が降って洪水が発生し、市内にある多くの出版社や書籍販売会社の倉庫が浸水被害を受け、庫内の書籍が水に濡れて使えなくなってしまった。この状況を知った宅配便業者が、被害を受けた図書を買い取って紙をリサイクルすることを決定したという。

当初は書籍の紙を梱包用の段ボールにリサイクルして使うプランを立てて実験をしたものの、強度が基準に達しないことが発覚。そこで、段ボールではなく封筒としてリサイクルする方針に変更し、書籍から得たパルプに他の紙パルプを混ぜることで封筒として使える強度を得ることに成功した。

そこで業者は8月に同市へ赴き、使えなくなった書籍約30トンを買い取って封筒を作成。現在までに百科事典や小説などさまざまなジャンルの書籍から20万枚余りの封筒を作り、中国国内300都市余りの拠点に配布して荷物の配達用として利用しているという。担当者は、通常のリサイクル紙に比べて洗浄や消毒の作業など手間がかかるとしつつも、「被害を受けた出版社などが損失をある程度挽回できる上、リサイクルによって資源の無駄遣いを避けることにもつながる」と語っている。

この取り組みに対して、中国のネットユーザーは「温かいパワーを感じる。感動して心が癒やされた」「これも一種の災害救助。愛の表れだ」「宅配便業者に『いいね』をつけたい」といった感想を残している。(翻訳・編集/川尻)

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