比江島慎選手、河村勇輝選手、馬場雄大選手に何度も問いただした「戦う意志があるのか」 トム・ホーバス監督が説く選手育成やチームづくり

選手育成やチームづくりについての考えを述べるトム・ホーバス監督=松江市殿町、島根県民会館

 バスケットボール男子日本代表のトム・ホーバス監督(57)が8日、松江市内で選手育成やチームづくりをテーマに講演した。昨年のワールドカップ(W杯)で48年ぶりの自力での五輪出場権獲得に導いた指揮官は、表情を含め選手をよく観察した上で繰り返しコミュニケーションを取る必要性を強調した。

 ホーバス監督は、女子WリーグのENEOS(エネオス)サンフラワーズのコーチに就任した2010年から、通訳を介さずに選手と話しているとし、その理由を「ニュアンスが間違って伝わる」と説明。母国語の違いを克服するため、選手の表情に注意を払い、感情を読み取る努力をしているとした上で「ミスコミュニケーションはまずない」と強調した。

 こうした接し方が実を結んだ例として、W杯で当初はプレーが消極的だった比江島慎選手(宇都宮ブレックス)、河村勇輝選手(横浜ビー・コルセアーズ)、馬場雄大選手(長崎ヴェルカ)らに何度も「戦う意志があるのか」と問いただした結果、最終的には出場権獲得の立役者になったことを挙げた。指揮官の重要な役割については「選手の良い部分をいかに引き出せるかが大切」とした。

 講演会は創立100周年を迎えた県スポーツ協会が開き、約200人が聴き入った。

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