鎮魂、命守る誓い 東日本大震災から13年 北茨城で追悼式

東日本大震災で亡くなった漁師仲間の冥福を祈り、手を合わせる人たち=11日午後1時37分、北茨城市大津町

東日本大震災は11日、発生から13年となった。2万2000人以上が犠牲となり、東京電力福島第1原発事故などで今なお2万9000人が避難生活を余儀なくされている。地震発生時刻の午後2時46分、茨城県内も鎮魂の祈りに包まれた。能登半島地震に思いをはせ、災害から命を守る誓いを新たにした。

関連死を含め計11人の死者・行方不明者が出た茨城県北茨城市では、五浦岬公園の慰霊塔の前で追悼式が行われた。遺族ら関係者約70人が黙とうをささげた後、献花台に白菊を手向け、犠牲者の冥福を祈った。

豊田稔市長は「震災を経験した私たちは、犠牲者の思いを受け継ぎ、風化させることなく、経験と教訓を次の世代に伝え続ける責務がある」と述べた。

献花台に花を手向けた同市の吉田安守さん(83)は、母の一子さん=当時(94)=を災害関連死で亡くした。一子さんは自宅から避難しようとした際、津波に襲われ、4カ月後に亡くなったという。

安守さんは「直後に比べれば、寂しさは和らいできた。『生き残った者は頑張ってやっている、安心してください』と伝えた」と語った。

同市の大津漁港では、震災で亡くなった仲間の冥福を祈り、漁師9人が手を合わせた。鈴木稔さん(72)は「毎年集まり、供養している。命の大切さを改めて実感する」と話した。

地震発生時刻のサイレンに合わせ、市民らが手を合わせた。近くに住む鈴木兼男さん(70)は「年月が過ぎても、この日が来ると当時を思い出す」と語った。

茨城県では11年3月11日、最大震度6強を観測。津波などで死者24人、行方不明者1人、災害関連死42人の犠牲者が出た。福島第1原発事故を受け、県内で今なお2330人が避難を余儀なくされている。

東日本大震災の追悼式で、母親の冥福を祈り献花する吉田安守さん=11日午後3時、北茨城市大津町

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