米映画界最大の祭典、第96回アカデミー賞が10日、発表され、宮崎駿(みやざき・はやお)監督の「君たちはどう生きるか」が長編アニメーション賞、「ゴジラ-1.0(マイナスワン)」(山﨑貴(やまざき・たかし)監督)が視覚効果賞を受賞した。「君たちは-」は栃木県と意外な縁があり、ゴジラも過去の作品で栃木県がロケ地に選ばれた。下野新聞の過去の記事で振り返る。
宇都宮の地酒「澤姫」
2023年夏に封切りされた「君たちは-」。8月にスタジオジブリが公式X(旧ツイッター)に投稿した内容に、県民の目はくぎ付けになった。
「宮崎さんと鈴木さんが気合れすぎて、久石さんと米津さんの服がお酒まみれになりました。(原文ママ)」という一文とともに、宮崎監督らが小槌(こづち)を打ち下ろした酒樽(さかだる)に「澤姫」の文字があったから。言わずと知れた、井上清吉商店(宇都宮市白沢町)の銘酒だ。
スタジオジブリは当時、下野新聞社の取材に対し、鏡開きに使った理由を「秘密です」としたが、「スタッフ一同でおいしくいただきました」ともコメントした。
栃木県議会議事堂、いちょう通り
数あるゴジラの名作でも、とりわけファンの語り草になっている作品の一つが「シン・ゴジラ」。アニメ「エヴァンゲリオン」でも知られる庵野秀明(あんの・ひであき)さんが総監督を務め、興行収入は80億円を超えるヒットとなった。
本作で、ゴジラが出現してパニックに陥る街の舞台として採用されたのは、宇都宮市松ケ峰1丁目から南大通り4丁目の交差点まで延びる「いちょう通り」。また首相官邸の舞台としてロケ地に選ばれたのは県議会議事堂だった。ロビーから中庭を臨む景色は、確かに首相官邸のロビーとよく似ている。
ゴジラ音楽の父の系譜を次ぐ音楽家
ゴジラといえばテーマ曲。誰でもそらんじることのできるメロディーは、世代を超えて愛されている。
作曲は、言わずと知れた巨匠・伊福部昭(いふくべあきら)さん(1914〜2006年)。栃木県では、叔母が伊福部さんに師事したことをきっかけに伊福部音楽を研究し、伊福部さんの作品集CDにも参加したピアニスト大嶋浩美(おおしま・ひろみ)さんが活躍している。