【ベトナム】ステンレス新基準で破産危機、20社が廃止要請[鉄鋼]

ベトナムで生産するステンレスメーカー約20社が、ベトナム政府が2019年に公布したステンレスの新たな品質基準によって生産の停止に追い込まれ、破産の危機にひんしているとして、同基準の廃止や大幅な修正を求める請願をフイン・タイン・ダット科学技術相に提出した。科学技術省は先に同基準の効力を停止する政令案に関する意見を関係省庁や関連業界に求めたが、いまだに何の決定も下しておらず、ステンレス業界の危機は一層深まっていると早急な対応を要請している。トイチェーが10日伝えた。

ステンレス業界が廃止を含む対応を求めているのは、政府がステンレスの品質基準を定めた19年の公文書「QCVN20:2019/BKHCN(20号基準)」。新たな基準では、国内に流通するステンレス鋼のめっきに含まれるクロムの含有量を10.5%以上に高めることや、石炭の含有量を1.2%未満とし、国際的な品質基準に適合させることなどを求めた。

ステンレス業界は科学技術相への請願で、「20号基準の適用後、各社の工場は1年以上にわたって運転停止を迫られている」と苦境を訴えた。長期間の運転停止ですでに製鋼機械も故障してしまったほか、長年技術を磨いた数万人の労働者が職を失い転職を迫られている。今の状況が続けば機械の補修費がかさんで生産再開は不可能になり、廃業は避けられないと主張。そうなれば、ベトナムのステンレス市場がすべて外資に奪われることになりかねないとして、20号基準の廃止または改正を求めている。

20号基準については、ベトナム商工連盟(VCCI)も以前、「ステンレスはさまざまな製品の材料に使われており、価格が安く品質もそこそこの製品を排除してしまえば、顧客の選択の権利を奪ってしまうことになる」と見直しを要請した。

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