【昭和の春うた】アルフィー「シンデレラは眠れない」坂崎幸之助がリードヴォーカル!  カネボウ春のキャンペーンソングとしても有名!アルフィーの名曲「シンデレラは眠れない」

昭和の春うたvol.2 THE ALFEE / シンデレラは眠れない

8作振りに坂崎幸之助がリードヴォーカルを務めた「シンデレラは眠れない」

2023年で結成50周年、2024年にデビュー50周年を迎えたTHE ALFEE(以下、アルフィー)。彼らの20枚目のシングルとして、1985年2月21日に発売されたのが『シンデレラは眠れない』だった。前作「恋人達のペイヴメント」に続いてチャート1位を獲得し、TBS『ザ・ベストテン』でも1位に輝いた作品。この時のアーティスト表記はまだ “ALFEE" であった(翌1986年に変更)。

1982年の「泣かないでMY LOVE」以来、8作振りに坂崎幸之助がリードヴォーカルを務め、ギターではなくシンセドラムを叩きながら歌ったのが話題となった。ライブでは既に披露されていたものの、テレビの歌番組でギターを持たずに歌ったのは初めてであったらしい。ブレイクした「メリーアン」や「星空のディスタンス」では桜井賢が、「恋人達のぺイヴメント」では高見沢俊彦がリードヴォーカルだったから、ここで坂崎がメインに置かれたのは当然の戦略であっただろう。

カネボウ春のイメージソング、キャンペーンモデルは沢口靖子

この曲は、カネボウ化粧品 '85春のイメージソングに起用されたため、歌番組以外でもサビの部分がテレビやラジオから頻繁に聴こえてきた。CMのキャンペーンモデルだった沢口靖子は、「恋人達のペイヴメント」が使われたグリコアーモンドチョコレートのCMにも出演していたから、これで沢口の出演によるCMソングが2曲続いたことになる。この時シンデレラと称された沢口が、2年後の1987年に映画『竹取物語』でかぐや姫を演じることになろうとは。

当時、季節毎に展開される資生堂とカネボウのキャンペーンソング合戦は熾烈を極めていた。特に春はコスメ業界にとって重要な季節とおぼしく、印象的なヒット曲が多く見られる。この時の資生堂は大貫妙子「ベジタブル」で、レコード売上げに関してはカネボウの圧勝であった。この前後の年を見てみると、1984年春は資生堂の高見知佳「くちびるヌード」に対してカネボウが松田聖子「Rock'n Rouge」、1986年春は資生堂の中山美穂「色・ホワイトブレンド」に対してカネボウが岡田有希子「くちびるNetwork」とアイドル全開。1985年はその狭間となっていたことが判る。ちなみにスポンサーに資生堂が入っていたフジテレビ『夜のヒットスタジオ』では「シンデレラは眠れない」は歌えなかったはずである。

決して昭和の懐メロソングにはなっていない「シンデレラは眠れない」

春うたでは、ずいぶん遡ると1975年のファーストアルバム『青春の記憶』の中に「一年目の春」という坂崎の作曲による作品があった。ほかにも1990年の『国際花と緑の博覧会』(花の万博)のイメージソングとなった「FLOWER REVOLUTION」や、2006年のアルバム『ONE -Venus of Rock-』に収録された「春の嵐」などがあるが、アルフィーの春うたといえば、間違いなくこの「シンデレラは眠れない」が筆頭に挙げられる。

通例になっていた、高見沢と高椅研の共作による詞では、“シンデレラ” と “アンブレラ” で韻を踏んでいる箇所が印象的。『ザ・ベストテン』でも、セットにアンブレラがフィーチャーされていたと記憶する。2週にわたって1位を獲得した際にはシンデレラにちなんで、メンバーにガラスの靴がプレゼントされていた。以後のライブでも定番曲となり、時代を超えて愛されている。若いファンも多いアルフィーであるから、決して昭和の懐メロソングにはなっていないはずだ。

カタリベ: 鈴木啓之

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