巨人・佐々木俊輔がOP戦打率首位浮上も凶兆? オープン戦首位打者→レギュラー獲得は近10年で1人

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キャンプからアピール続ける24歳外野手

2024シーズン開幕まであと3週間を切り、全12球団がオープン戦に突入。開幕に向けてふるい落としが始まる中、巨人のドラフト3位ルーキー・佐々木俊輔が開幕一軍入りへアピールを続けている。

帝京高、東洋大、日立製作所を経て入団した即戦力外野手は、オープン戦でもここまで全6試合に出場。初打席となった2月23日の阪神戦(那覇)でレフト前にタイムリーヒットを放つと、ここまで18打数8安打、4打点で打率.444をマーク。西武のヘスス・アギラーと並び、打率トップに立っている。

174センチと上背はないが、キャンプ初日の練習で打球速度170キロ以上を計測し、首脳陣を驚かせた24歳は、俊足強肩も併せ持つ。昨季11人が起用されたレギュラー不在のセンター候補として、開幕一軍入りどころかスタメンも視野に入ってきた。

オープン戦首位打者は若手にとって鬼門?

ただ、オープン戦はあくまでレギュラーシーズンまでの準備期間。佐々木がここまで目を見張る活躍を見せているとはいえ、レギュラーシーズンでも同様の活躍ができるとは限らない。過去にもオープン戦首位打者に輝きブレイクを期待されたが、シーズンでは不発に終わった若手選手も少なくない。

直近5年間でオープン戦首位打者に輝いた選手と、その打率は以下の通り。

2019年 打率.388 楠本泰史(DeNA) 2020年 打率.378 大山悠輔(阪神) 2021年 打率.400 島内宏明(楽天) 2022年 打率.393 髙部瑛斗(ロッテ) 2023年 打率.415 栗原陵矢(ソフトバンク)

上記5選手のうち、そのシーズンに規定打席に到達したのは、既にチームの主力となっていた大山と島内を除くと、2022年の髙部のみ。その髙部は勢いそのままに開幕スタメンに抜擢されると、レギュラーに定着。トップバッターを任されるなど137試合に出場し、打率.274をマークした。

その一方で、昨季の栗原陵矢は打率.415で首位打者となったが、開幕後は打撃の調子が安定せず、96試合の出場で打率.239。2019年の楠本も39試合の出場で打率.208と低調に終わった。

では、歴史をもう少しさかのぼり、過去10年に範囲を広げてみるとどうだろうか。

過去10年で見てもブレイクしたのは髙部のみ

2014年から2018年までのオープン戦首位打者は以下の通り。

2014年 打率.435 井上晴哉(ロッテ) 2015年 打率.459 秋山翔吾(西武) 2016年 打率.400 鈴木大地(ロッテ)、坂田遼(西武) 2017年 打率.375 アンディ・シリアコ(DeNA) 2018年 打率.386 内田靖人(楽天)
※所属は当時

既に実績を残していた鈴木大地や秋山翔吾、後年に主力となった井上晴哉らの例はあるが、同シーズンにレギュラーを獲得するに至った選手はいない。2016年の坂田は開幕戦初スタメンを勝ち取るも、45試合の出場で打率.245。2018年の当時高卒5年目だった内田も、シーズンでは58試合の出場で打率.198と苦しみ、オープン戦での輝きがまるで嘘のような落ち込みようだった。

2022年の髙部のように、オープン戦首位打者をきっかけにレギュラーを掴んだ選手はほんの一握りで、実績のない若手にとっては鬼門となっている。レギュラーを目指す佐々木にとってオープン戦は首脳陣にアピールする格好の場だが、今から張り切りすぎるのも考えものなのかもしれない。

巨人が予定しているオープン戦は残り10試合。佐々木はこのまま好調をキープして走り抜けることができるのか、そしてシーズンでも同様の輝きを放つことができるのか。ルーキーの一挙手一投足から目が離せない。



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