『ブギウギ』が一気に“テレ朝刑事ドラマ”風に 内藤剛志はもはや刑事より刑事!?

NHK連続テレビ小説『ブギウギ』の第24週には、ベテラン刑事・高橋役で内藤剛志が出演する。とある事件の発生に動揺したスズ子(趣里)が警察に通報し、事件の捜査を担当することになるのが高橋だ。

8歳になった愛子(このか)には友達が少なく、スズ子は子育てに悩んでいた。母親として、スズ子が甘やかし過ぎなのではないかとも言われるなか、愛子の誘拐予告が届く。

第23週の最後に次週の予告編が流れ、刑事姿の内藤が映ると、SNSには突然の展開に対する驚きと、内藤のハマり具合にさまざまな視聴者の声が上がった。スズ子がどれだけ動揺していても、内藤の登場のおかげで絶大な安心感と期待感を抱いた人が多かったようだ。

『あさイチ』(NHK総合)の朝ドラ受けでも、博多大吉が「内藤剛志さんが出てくると、一気に刑事ものになるな」と話していたが、内藤は「キャリアの87%が刑事役」と本人も言っている(※1)ほど、刑事を演じることが多い。今回、『ブギウギ』で彼が演じるのは、警視庁世田谷署の人情派のベテラン刑事・高橋役。出演が決まった際、内藤は役柄について「おそらく皆さんの想像通り、そう刑事です!」とコメントし、制作統括の福岡利武も内藤の起用について、「さすが刑事役を長年演じられてきただけあり、たくさんの芝居のアイデアを出していただき、シーンをより深くしていただけました」と語っている(※2)。

児童劇団から演技を始めた内藤は、劇団「文学座」研究所の所属を経て、1980年公開の映画『ヒポクラテスたち』に出演したのを皮切りに、数々のテレビドラマや映画に出演。1980年代には、『あぶない刑事』(日本テレビ系)などの刑事ドラマに犯人役でゲスト出演することも多かった。

1999年からスタートした『科捜研の女』シリーズ(テレビ朝日系)に、シーズン2から出演し始めた内藤は、当初は京都府警科学捜査研究所のプロファイラー・武藤要役を演じていたが、シーズン5からは京都府警捜査一課の刑事・土門薫役でレギュラー出演するように。2004年から約20年、土門を演じ続けている内藤は、もう本物の刑事以上に刑事のイメージが強いかもしれない。

並行して、2012年からは『警視庁・捜査一課長』シリーズ(テレビ朝日系)の放送が開始され、内藤は主人公の大岩純一を演じている。大岩は、“刑事の中の刑事”と言われるキャラクターで、タイトル通り警視庁の捜査一課長。いわゆるキャリア組の警察要職ではなく、ヒラ刑事から這い上がってきた“叩き上げ”だ。等身大のヒーローであり、頼れる理想の上司である大岩も、内藤のハマり役の一つだ。

ほかにも、2017年からは『十津川警部』シリーズ(TBS系)に主演し、警視庁捜査一課の係長・十津川省三を演じている。さらに、2013年と2016年に放送された『制服捜査』シリーズ(TBS系)では、八戸中央警察署種差海岸駐在所の警官・川久保篤役で出演。2003年からは『警視庁強行犯係・樋口顕』シリーズ(テレビ東京系)で主演を務め、警視庁捜査一課強行犯第三係一班の係長・樋口顕に扮している。

ここに書いた刑事役以外にも、数多くのドラマで刑事を演じている内藤。日本のお茶の間には内藤の刑事姿が浸透しているからこそ、『ブギウギ』の予告編にチラッと映っただけで、内藤が演じる刑事なら必ず誘拐事件を解決し、愛子とスズ子を助けてくれると視聴者を信じさせる説得力があるのだろう。

ちなみに、筆者は『科捜研の女』シリーズの土門と、主人公・榊マリコ(沢口靖子)のコンビが大好きで、周囲が「マリコさん」と呼ぶ中、土門はあえて「榊」と名字を呼び捨てにしているのが、より親しい感じがして気に入っている。マリコと信頼し合い、協力して犯人を追い詰める土門は、クール且つ懐の深い敏腕刑事で、土門がいてこその『科捜研の女』シリーズというくらい、マリコにとっても視聴者にとっても不可欠な存在だ。ほぼ毎回、事件が解決してエンディングに差し掛かるところで、マリコと土門が親しげに、楽しそうに語り合っているところまでが、本作を観る醍醐味だと思っている。

『ブギウギ』での内藤の刑事としての活躍も、きっと心に残るものになるに違いない。

参照

※1 https://www.tv-asahi.co.jp/ichikacho1/sphone/intro/
※2 https://realsound.jp/movie/2024/01/post-1551715.html
(文=清水久美子)

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