石川祐希がサーブで突破口を見いだすも、ミラノは相次ぐミスで逆転負け...次戦、4強入りへ王手なるか?【プレーオフ準々決勝第2戦】

現地時間3月10日、バレーボールのイタリアリーグ/スーペルレーガで2023-24シーズンのプレーオフ準々決勝第2戦が行なわれた。男子日本代表の石川祐希が所属する6位アリアンツ・ミラノはホームで3位ガスセールズ ブルーエナジー・ピアチェンツァと対戦し、セットカウント1-3(25-22、20-25、21-25、14-25)で敗れて成績を1勝1敗とした。

3戦先勝(5試合制)したチームが次のステージへ駒を進める準々決勝。3日前の第1戦はミラノがセットカウント1-2から2セット連取して逆転勝利を収め、アウェーで白星発進していた。勝負の第5セットにエース2本を含む5得点を挙げてチームを勝利へけん引した石川。その初戦でマークした17得点とアタック14本は、どちらも出場全8チームの選手の中で7番目の数字、3本を沈めたサービスエースでは、首位と1本差の2位にランクインした。

連勝で4強入りへ王手をかけたい2戦目へ、ミラノは先発にアウトサイドヒッター(OH)のエース石川、その対角にマテイ・カジースキ(ブルガリア)、ミドルブロッカー(MB)はブロック部門でリーグ首位のアグスティン・ロセル(アルゼンチン)と、第1戦でアタック決定率75%のほかブロック6本を決めてMVP(マン・オブ・ザ・マッチ)を受賞したマルコ・ヴィテッリ(イタリア)、チーム最多得点だったオポジット(OP)フェレ・レゲルス(ベルギー)に司令塔パオロ・ポッロ(イタリア)を起用した。
ピアチェンツァの布陣は、セッターとしてフランス代表を東京五輪金メダルへ導いたアントワヌ・ブリザール、ブラジル代表OHコンビのリカルド・ルカレッリとイオアンディ・レアル、キューバ代表MBロベルトランディ・シモン、イタリア代表OPユーリ・ロマノと昨年に初の同国フル代表入りを果たしたMBエドアルド・カネスキ。

今季の対戦成績2勝2敗の両者は、互いに初戦と同じメンバーで臨んだ。

第1セット、開始直後に負ったビハインドをポッロのエースで挽回したミラノは、石川が自身最初の得点に続きサーブで攻め込み、エース1本を含む2連続ブレークに成功。リードを3点へ広げるが、シモンにブロック3本を許して接戦が幕を開ける。1点を争うなか、石川のクロス弾とブロックの間を抜くライトからの一打などで、ピアチェンツァの背中をとらえたまま終盤へ突入。ロセルのサーブでルカレッリのアタックエラーを誘い、ヴィテッリが2連続ブロックを炸裂させてリードは4点。巻き返しを試みる相手を、このセットでアタック決定率63%をマークした石川の6得点目で退けてセットポイントを握ったミラノが試合を先行した。
第2セットは序盤から状況が一変。被ブロック4本に見舞われるなどして7点のビハインドを負う。それでも、好調な石川の2本目のエースを含むサーブでミラノが猛攻を開始。4連続ブレークに成功すると、浮足立った相手のアタックがラインを割る。2点差に詰め寄りさらに石川のサーブが続くはずだったが、ミラノの選手が一瞬ボールに触れていたため、12-15。この好機を逃した後、ルカレッリの連続得点やシモンのエースに屈してこのセットを奪われた。

第3セットで開始早々に一歩前へ出たミラノだったが、攻撃ミスと被ブロックで間もなく形勢が逆転する。僅差で追う展開の中盤、点差が開きかける度に石川が渾身の打球でそれを回避。カジースキとレゲルスに替わり途中出場したOHオスニエル・メルガレホ(キューバ)とOPデルリッチ(クロアチア)の奮闘で17-17の同点へ持ち込むが、またしてもシモンのサーブが立ちはだかる。2連続エースで突き放された後、石川が孤軍奮闘するもセット連取を許した。

窮地に立たされ迎えた第4セット、明暗を分けたのは、ピアチェンツァが調子を上げる一方でミラノは確率が下降していたサーブだった。ルカレッリに2連続を含むエース3本を決められるなど、レセプションに大苦戦して序盤に6失点。ミラノの3選手にサーブミスが出るなか、ピアチェンツァはロマノとレアルがさらにエース2本を加える。石川がこの日3本目のエースで応戦してロセルのサーブを起点に3点を返すも、失ったリズムは戻らず。終盤にもブリザールのサーブで被ブロックと誤打が出て、大差のままこのセットを終えて黒星。1勝1敗となり、3戦先勝の決着は第4戦へもつれ込むことが確実になった。
石川はチーム最多の17得点(アタック14、エース3)を挙げて、今季のリーグ公式戦通算で300得点(311得点)を記録。ミラノはアタック決定数1差でピアチェンツァとほぼ同数だったものの、ミスの数は相手の18に対して25に上り、ほかはブロック9、エース5、ブレーク22。相手のブロック14、エース11ブレーク35を大幅に下回った。

国際バレーボール連盟の配信サービス『Volleyball TV』の解説者で元イタリア代表のジョルジョ・ゴルドーニ氏は、「イシカワがサーブで幾度も突破口を見いだしたが、ミラノはそれを活かせなかった」と試合後の総評でコメント。「次の試合は、違った内容になるはず」とミラノの復調を予想した。

ほかの3試合は、1位トレントが8位モデナに、2位ペルージャが7位ヴェローナに勝利してそれぞれ2連勝。高橋藍が所属する5位モンツァも初戦に続き4位チヴィタノーヴァを下して、3チームが準決勝進出へ王手をかけている。

ミラノの第3戦は、日本時間3月17日午前2時開始予定。2勝目を狙い、ピアチェンツァのホームへ乗り込む。

構成●THE DIGEST編集部

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