思わず唸った存在感と迫力あるサウンド。AVIOT「TE-ZX1」は“史上最大級”のインパクト!

“史上初” 。AVIOTから登場するフラグシップ機の完全ワイヤレスイヤホンは、幾度もその言葉を冠して登場し、実際、それはどれも驚異的なものばかりだった。しかし、人は刺激に慣れてしまう。また史上初と言われても、次はもうワクワクはしないだろう...そう思っていた。

しかし、そんな冷えかけていた心を再びワクワクさせるであろう、強烈な “完全ワイヤレスイヤホン史上初” を携えて登場したのが、AVIOTの新たなフラッグシップ完全ワイヤレス「TE-ZX1」だ。

「TE-ZX1」価格 : 49,500円(税込)

「トライブリッド5ドライバー」システムという、何なら有線イヤホンの世界においても先進的と言えるドライバー構成。現時点での完全ワイヤレスへの採用は常識破りだし、今後の追随さえないかもしれない。それほどぶっちぎりなドライバー構成を採用してきた上に、ノイキャンなど全体的なブラッシュアップも当然抜かりなしだ。

そしてAVIOTのフラグシップ機といえば、凛として時雨のドラマー・ピエール中野氏のコラボモデル “ピヤホン” も欠かせない。今回も “ピヤホン7” こと「TE-ZX1-PNK」が同時に登場。中野氏監修のチューニングとデザインに加え、「Assmeble for PNK プロジェクト」の開始も基盤となることが大きなポイントだ。

AVIOTのフラグシップTWSでは恒例となる、ピエール中野氏の新コラボモデル「TE-ZX1-PNK」も同時発売

本稿では、そんな新たなフラグシップ機TE-ZX1、TE-ZX1-PNKの特徴や仕様、気になる試聴インプレッションなどを紹介していきたい。

「TE-ZX1」「TE-ZX1-PNK」を同時レビュー!

まずはメイン機となるTE-ZX1。低域にダイナミック型×1基、中高域に平面磁気駆動型×1基、高域にBA型×3基の、計3種/5基によるドライバー構成、それが今回採用された「トライブリッド5ドライバー」だ。

メインフラグシップ機となる「TE-ZX1」
計3種/5基によるドライバー構成が特徴

平面駆動型ドライバーは製品ごとに様々な使い方がなされており、その使い方の違いに製品の個性が表れやすい。本機は3ウェイの中高域への採用によって、「低歪みで伸びやかな中高域」を得ているとのことだ。

前モデルから継承する、イヤーモニターを参考にしたシェル形状も重要ポイント。ドライバー構成の大規模化はイヤホン全体の大型化につながり、装着感の難を生みやすい。

イヤーモニターを参考にしたシェル形状は前モデルから継承

しかしAVIOTは、シェル設計と金属製ノズルによる重心調整で、それを解消する独自手法を前モデル時点で完成済み。今回も各手法をしっかり踏襲することで、今回さらに大規模な構成の採用に踏み切れたのだろう。実際に本機の装着感は、快適性も安定性も十分に確保されたものだ。

快適性も安定性も十分に確保された装着感を実現

なお、そのシェルの製作に使われている積層造形技術は、シェル内部の音響設計の最適化にも活躍。前述の金属ノズルも不要共振抑制効果で音質向上にも貢献してくれる。

そのドライバー構成と音響設計によって、DSP音質調整を最小限に抑え鮮度の高いサウンドを実現。またLDAC対応によって、ハイレゾ級の情報量も余すところなく再現する。それが本機の狙いであり強みとなるのだ。

音質に加えて、本機では「ハイブリッド・アクティブノイズキャンセリング(ANC)」も強化され、ノイズキャンセリング性能向上と、独特の圧迫感の減少を同時に達成した。ノイズキャンセリングの使用感にうるさいピエール中野氏も、「感動の仕上がり」とのことだ。

実際に駅前や電車内でテストしてみると、大柄なイヤモニシェイプで耳を塞ぐことでの遮音性も合わさって、総合的な性能は現在の最新機に求められる水準を余裕を持ってクリア。そしてたしかに圧迫感は皆無だ。これを体感してから通常製品のノイズキャンセリングに戻ってみたところ、普段は気にならなかった圧迫感を改めて実感してしまった。

『カウボーイビバップ』コラボの外観デザイン!気になる試聴インプレッションも

そのほかの仕様として、イヤホン単体で最大8時間の連続再生、IPX4相当の防水性能、AIノイズ除去による通話性能、マルチポイント接続の対応など、完全ワイヤレスとしての基礎力にも抜けはなしだ。

医療用シリコンを使用したイヤーピースは、S/M/L/LXサイズの4サイズ展開に加えて、S/Mサイズのみ高さが異なる2種類を用意した全6サイズを付属。さらに、ノイズキャンセリングの効果をより向上させるウレタン素材のイヤーピースも2サイズ同梱した、全8種を用意する。

イヤーピースはサイズや素材が異なる全8種を付属する
付属品のイメージ

最後に大きく目を引くのが、この外観デザイン。本機は2023年に放送25周年を迎えたアニメ『カウボーイビバップ』とのコラボレーション仕様となっている。同作のメカニカルデザイナー・山根公利氏監修により、劇中に登場する高速戦闘機 “ソードフィッシュII” をイメージソースにデザインされており、世界観溢れる造形や鮮烈なカラーリングが印象的だ。

メカニカルデザイナー・山根公利氏監修による、『カウボーイビバップ』の世界観あふれる外観デザイン

また充電ケースやパッケージは、グラフィックデザイナー・上杉季明氏がデザインワークを担当するなど、細部までこだわりが詰め込まれている。

充電ケースのイメージ
パッケージや付属品なども細部まで造り込まれている

さらに、『カウボーイビバップ』に登場する5キャラクターによるオリジナルボイスガイダンスも搭載する。電源のオン/オフや接続状況をアナウンスするボイスを、好みのキャラクターに設定することができる。

ボイスは専用アプリから切り替え可能。スパイクとフェイは操作性重視の「Simpleモード」と、劇中のイメージ重視の「Dramaticモード」の2種を搭載する

それでは、気になるサウンドについてチェックする。実際に聴いてみてまず唸らさせられたのは、音の存在感や迫力、その器となる空間の広さだ。聴き込んでいくと、演奏ニュアンスの再現など描写の細やかさにも頷かされた。

YOASOBI『アイドル』のような音数の多い高密度サウンドで、すべての音が大柄に鮮やかに描き出されれば、楽曲全体としては騒がしさや窮屈さも目立ってきてしまいがちだ。しかし本モデルは、強烈な音像描写と余裕のある空間描写を兼ね備え、そんなやらかしはしない。なので、ハードで手数の多いバンドサウンドにもフィットする。嵐のような音数を盛大に鳴らしつつも、それがゴチャッと重なってフレーズやグルーヴを潰してしまうようなことはないわけだ。

強烈な音像描写と余裕のある空間描写を兼ね備えたサウンド

音数の少ない楽曲では、空間表現の方がさらに際立つ。アコースティックギターとベースのデュオ曲、ジュリアン・ラージ『Double Southpaw』では、ベースの低音が部屋に響くその様子が、生々しく伝わってくる。そしてギターのダイナミクスや音色コントロールなど、演奏ニュアンスの再現も見事。音色の描き分けの部分には特に、平面駆動型ドライバーによる「低歪みで伸びやかな中高域」の貢献が大きいのだろう。

なお、以上は「LDAC接続&ANCオフ」を中心にチェックしての印象。ANCオンでは重低音がやや膨らむが、全体の印象を崩すほどではない。また、iPhoneなどのAAC接続でも、LDAC接続との差は思いのほか小さかったのも良い。iPhoneユーザーの方でも十分に本機のサウンドを楽しめるだろう。

通称“ピヤホン7”「TE-ZX1-PNK」レビュー。メイン機との違いをチェック!

続いて、ここまで紹介したTE-ZX1をベースに、ピエール中野氏による音質&外観監修が施されたのが「TE-ZX1-PNK」、通称ピヤホン7だ。基本仕様はTE-ZX1と同様ながら、サウンドチューニングや外観デザイン、「Assemble for PNK プロジェクト」の展開などが異なっている。

「TE-ZX1-PNK」価格 : 49,500円(税込)

チューニングの肝は、その低音の質感と躍動にフォーカスして施したとのこと。外観デザインには、もちろんピヤホンらしいブラック×ゴールドのカラーリングを採用している。

前モデルとの比較イメージ。写真左がピヤホン6、写真右がピヤホン7で、ゴールドの色合いも少し変化している
ケース蓋の内面には「バイブスくん」があしらわれている

操作に対するレスポンスを、音声ではなくサウンドで返してくれる「サウンドガイダンス機能」では、そのサウンド制作をBOOM BOOM SATELLITES、THE SPELLBOUNDの中野雅之氏が担当したというのも見逃せないポイントだ。

BOOM BOOM SATELLITES、THE SPELLBOUNDの中野雅之氏がサウンドガイダンスの制作を担当

加えて、このピヤホン7は「Assemble for PNK プロジェクト」の基盤の役割も担う。機能としては、単に「チューニングとサウンドガイダンスを専用アプリで切替可能」だが、驚きなのはプロジェクトで提供されるチューニングとサウンドガイダンスの内容だ。

発売時点では、ピエール中野氏チューニングを中野雅之氏がさらに調整した「エクストラチューニング」を標準搭載。今後Mondo Grossoの大沢伸一氏、クラムボンのミト氏によるものも随時追加予定で、その後も様々なコラボを企画中とのこと。期待を膨らませずにはいられないプロジェクトとなっている。

充電ケースのイメージ
パッケージを開くとピエール氏からのメッセージが記載されている

それでは期待はひとまず胸に収めつつ、標準のピエール中野氏チューニングのサウンドをチェック。ポイントとしては、特にベースラインのクリアさを挙げたい。

ベースの音そのものの調整だけではなく、ベースの周りに適切なスペースを確保することでも、ベースの見え方をクリアにしてあるイメージ。低音の足し算だけではなく、その周囲の引き算でも「低音の質感と躍動」を映えさせてある印象だ。

低域周囲の引き算のチューニングによって「低音の質感と躍動」を映えさせている

最後に、中野雅之氏エクストラチューニングもチェックしてみる。すると、「何このすげえローエンド!?」。しかし、その超低域ブーストが中低域に干渉することはなく、どんな曲を聴いても破綻しない。いわゆる重低音サウンドとして理想的な仕上がり。標準チューニングとの使い分けも捗ることだろう。

チューニングの切り替えは専用アプリのEQ設定から簡単に行える

発売時点でこのサウンドを備える上に、発売後にも新たな楽しみが提供され、そのポテンシャルが開放されていく。何とも贅沢なモデル、贅沢なプロジェクトだ。

◇◇◇

トライブリッド5ドライバーの意義は、実際のサウンドからも確かに感じられた。メイン機TE-ZX1のサウンドはもちろんのこと、ピヤホン7のピエール中野氏チューニングや、中野雅之氏エクストラチューニングの極振りチューニングがうまく成立するのも、そのポテンシャルがあってこそだろう。

“史上初” 採用のドライバー構成がもたらす、「史上最大級のインパクト!」。ぜひ、一度本機を手にとって体感してみてほしい。

(協力 : プレシードジャパン)

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