日本代表の13年ぶり”平壌決戦”に大手通信社が異例の関心! 北朝鮮側の「運営上の透明性欠如」「航空便不足」を問題視

13年ぶりに敵地での試合が実現する。

3月11日、日本サッカー協会(JFA)は北中米ワールドカップ(W杯)アジア2次予選の北朝鮮代表対日本代表の開催地が、同国の平壌に正式決定したと発表した。

同協会はアジアサッカー連盟(AFC)より、「平壌(金日成スタジアム)にて、予定通り3月26日の17時(現地時間)キックオフで開催する旨の通達を受信した」と公表。21日に東京・国立競技場で行なわれるホームゲームを戦った後、森保ジャパンはアウェーの平壌へ向かう。

当地で日本代表が試合をするのは、2011年のブラジルW杯アジア3次予選以来、実に13年ぶり。当時はアルベルト・ザッケローニ監督が指揮を執り、10年10月のアルゼンチン戦から負け知らずの”ザック・ジャパン”だったが、ホームの北朝鮮が終始押し気味に試合を進め、後半開始直後の50分にパク・ ナムチョルがゴール前の混戦からヘディングで先制点を挙げる。この1点を最後まで守り切り、1-0で北朝鮮が勝利を収めると満員のスタジアムは大熱狂。敗北を喫したザッケローニ監督は、これが就任後初の黒星だった。
因縁のある地で再びW杯出場を懸けた対決は、海外も興味を示している。世界三大通信社のひとつであり、フランス・パリに拠点を置く国際通信社『AFP』は、JFAの正式発表を受けて記事を配信した。

記事内ではまず、先月のパリ五輪最終予選で北朝鮮女子代表と五輪切符を懸けた一騎打ちを見事に制した、なでしこジャパンのドタバタ騒動を見逃していない。

北朝鮮との第1戦の開催地が試合直前まで正式決定せず、対応に追われていたなでしこジャパン。最終的に予定していた平壌で試合は行なわれず、試合の3日前に中立地のサウジアラビア(ジッダ)に変更された。

試合はスコアレスドローに終わったが、選手たちに過酷な移動を強いらせたのは紛れもない事実。なでしこジャパンの主将・熊谷紗希は2月19日の記者会見で「こんなことは、あってはらない」と苦言を呈すほど、異例な状況を訴えた。

同メディアは、この経緯を付け加えたうえで「JFAは、北朝鮮側に対して運営上の透明性欠如や航空便不足などを理由に、試合を平壌から遠ざけるようAFC関係者らに要請した後、この発表に至った」とも指摘。紆余曲折があったなか、今回は予定通り平壌で試合が実施されることになったと説明している。

スタジアムが異様な雰囲気に包まれるのは想像に難くない。両国は政治的に深刻な問題を抱えているだけに選手の安全面を含め、当日まで無事に公式戦が開催できるのか心配する声も決して少なくない。

構成●THE DIGEST編集部

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