中国製クレーンは「トロイの木馬」か?―独メディア

10日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、世界各地の港で稼働している中国製のクレーンに対し「トロイの木馬」との懸念が広がっていることを報じた。写真は中国のクレーン。

2024年3月10日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、世界各地の港で稼働している中国製のクレーンに対し「トロイの木馬」との懸念が広がっていることを報じた。

記事は、中国製の港湾クレーンが今や世界じゅうの主要港に設置されている一方で、米国では安全保障当局関係者の一部から国家安全保障上のリスクに対する疑念が出ていると紹介。米下院国土安全保障委員会と「米国と中国共産党間の戦略的競争に関する特別委員会」が、大型港湾機器メーカーの上海振華重工(ZPMC)が米国に出荷した船舶対陸上クレーンにスイスのエンジニアリンググループABBの機器が設置されていることについての検証を進めており、委員会が潜在的な「サイバーセキュリティーリスク、外国情報機関の脅威、米国の港におけるサプライチェーンの脆弱(ぜいじゃく)性」を調査する姿勢を示していると伝えた。

また、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが5日に「米政府関係者が、全米の港湾で使用されている中国製巨大クレーンが、中国政府が掌握するスパイ活動の道具になるのではないかとますます懸念している」と報じ、ZPMCのクレーンにはコンテナの出発地と目的地を登録・追跡できる高度なセンサーが搭載されており、米国内外に出荷される物資や、世界各地での米軍の作戦を支援するために使用される物資に関する情報にアクセスできるようになることが懸念されていると紹介した。

その上で、ZPMCのクレーンは現在全米の港湾で使用されるコンテナ吊り上げ設備の80%を占めており、米軍が利用する複数の港でもZPMCの巨大クレーンを使用しているとし、米国家安全保障当局や国防省の関係者がZPMCの港湾コンテナクレーンを「トロイの木馬」に例えていると伝えた。

記事は、米国内の懸念に対してZPMCが10日「懸念を重く見るとともに、事実に基づいた検証を行わなければ、米議会における報告は容易に市民をミスリードする可能性があると認識している。当社のクレーンは米国を含む世界中の港湾で使用されているが、国際基準や適用される法律や規制を完全に遵守しており、いかなる港湾にもサイバーセキュリティ上のリスクをもたらすことはない」との声明を発表したことを伝えている。(翻訳・編集/川尻)

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