イランとパキスタンが一触即発…日本が切望する“中東の安定”の鍵を握る“バルチスタンの紛争”

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG(モニフラ)」(毎週月~金曜6:59~)。「New global」のコーナーでは、イランとパキスタンとの間で巻き起こる“バルチスタンの紛争”について取り上げました。

◆イランとパキスタンが一触即発

パキスタン外務省は1月18日、イラン領内の武装勢力に対し軍事攻撃を行ったと発表しました。イランメディアによると、シスタンバルチスタン州の村に複数のミサイルが着弾し、9人が死亡。両国を巡っては16日、イランがパキスタンの武装勢力を標的に空爆を行っており、18日のパキスタンの攻撃はこれに対する報復と見られています。

イランとパキスタンにまたがる"バルチスタン”という地域は、キャスターの堀潤曰く、イランでもパレスチナでもない独立した地域だと以前から主張しており、かなり不安定な情勢が続いているとか。

そうしたなか、中東における反米勢力の主軸・イランはイスラエル・パレスチナ問題でより一層緊張感を高め、それに伴い中東のさまざまな武装勢力が活発化。その結果、イランは"国内の治安維持”という名目でさまざまな地域に同時多発的に攻撃を展開しています。

この状況に堀は、「今はイランが治安維持のためと言っているが、一般市民に犠牲者が出るなど、その国の主権を脅かすような規模の攻撃になっていくと国家間の緊張はさらに高まり、当然(周囲には)核保有国もあるので危険」と危惧。

◆中露の思惑も…"バルチスタン”とは

バルチスタンは日本のODA(政府開発援助)対象地域で、これまで農業や教育、インフラなどあらゆる面をサポートしてきました。その背景にあるのは"中東の安定”。堀は「この地域の安定こそ中東の安定につながり、それは日本のエネルギー問題、安全保障上の安定につながる」と解説します。

元裁判官で国際弁護士の八代英輝さんは、「イランとパキスタン、双方と友好関係にある国は限られるなか、日本はその数少ない立場を保持しているので、日本として何か働きかけることは必要」と政府の適切な対応を望みつつ、アメリカでは11月の大統領選挙に向け共和党のトランプ前大統領が攻勢を強めるなか、「今後は北朝鮮とイラン、ロシアとイランの関係が非常に重要になってくると思う」と自身の考えを明かします。

ジャーナリストの春川正明さんは、イスラエルとパレスチナ、ロシアとウクライナの状況を鑑み、「世界的に国境を越えて攻撃することのハードルが下がっている」と懸念。そして、その発端となったのは2001年のアメリカ同時多発テロと指摘します。

春川さんは、「アメリカ同時多発テロ以降、テロに対しては何をやってもいいみたいな国際情勢になってしまった。テロリストの団体がどこかを決めるのも国によって違う。テロだったらなんでも許されるのか。国境を跨いでの攻撃に対し、もう少しメディアも国民もシビアに見ないといけない。テロは許せないがテロに対してであれば誰も何も言えない状況はやはり不健全。そこはちゃんと議論しないといけない」と注意を促します。

Health for all.jp代表の茶山美鈴さんは、日本ができることとして"世論の醸成”を挙げ「日本は中東に対し、アメリカなど他国とは少し違うスタンスを取れるところにあると思うので、そこで国民が自分たちの世論で(国の)方向を左右できるということを知り、この件はメディアでもあまり報道されていないが、自分たちで情報を摂取し、考えを述べていく必要がある」と訴えていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 6:59~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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