主要ゼネコン35社/24年春新卒採用19社が増加、人材獲得競争が一層激化

日刊建設工業新聞社が主要ゼネコン35社に実施した人材採用アンケートによると、今春入社予定の新卒採用者数(大卒、高卒などすべてを含む)は前年実績に比べ261人増の4111人となる見通しだ。技術系職員の割合は83%。働き方改革への対応や業務拡大などで採用を増やす傾向だが、採用目標数(33社が設定)に対する充足率が100%以上の企業は7社にとどまり、他産業を含めた人材獲得競争の激化に苦戦している状況がうかがえる。
アンケートは1、2月にに行った。前年実績から採用を増やしたのは大成建設の434人(前年比118人増)を筆頭に鹿島401人(67人増)、清水建設384人(50人増)など19社に上る。1社が同数、15社が減少した。20社が前年よりも計画目標を増やしたが、未達成の企業が大半を占め「ゼネコンや施工管理を志望する学生数の減少」や「大手や準大手との競合に苦戦」「売り手市場が続き技術者の確保が難しい」などの意見が目立った。
25年春の採用計画は34社が回答。回答企業の計画数を24年度総数と比較すると609人増の4631人となる見通しだ。今後の方向性について「技術者不足が予想される」(大成建設)や「時間外労働の上限規制対応や労働力確保のため」(大豊建設)、「業務拡大のため」(東急建設)などを理由に16社が「増やす」と回答した。
「横ばい」とした企業では「景気などに左右されず一定数を継続採用することが基本」(鹿島)や「各年の採用を一定にしバランスの取れた人員構成にしたい」(戸田建設)など、持続的成長に向けた年齢層の偏りを回避する狙いもある。
各社は通年採用や若手リクルーター制度の導入、SNS(インターネット交流サイト)活用、地域限定採用、中途採用向けのカムバック採用など、あの手この手で人材の獲得に動く。
競争力確保などを目的に、4月入社の新卒採用者の初任給引き上げを決めた企業は25社に上る。「給与面では大手に太刀打ちできない」(中堅ゼネコン)といった声も漏れ、独自色を打ち出した自社PRや認知度向上に知恵を絞る企業も少なくない。少子化に伴う学生数の減少や進路の多様化が進む中で、ますます人材獲得競争が激化しそうだ。

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