多くの日本人が間違えている「助動詞will」の意味…「~でしょう」と訳すと“残念な英文”に【カリスマ講師・関正生氏が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

意志や推量など、複数の用法がある助動詞「will」。多くの人が「~でしょう」という訳し方で教わりますが、willが持つ「本当の意味」はもっとパワフルです。スタディサプリ人気講師・関正生氏の著書『カラー改訂版 世界一わかりやすい英文法の授業』(KADOKAWA)より一部を抜粋し、解説します。

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「Act, and God will act. 」

─ Joan of Arc ─

「行動しなさい。そうすれば神も味方してくれるはずです。」

─ジャンヌ・ダルク─

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ジャンヌ・ダルク(1412~1431)のコトバの中にwillがありますね。willは「~でしょう」なんて弱々しく訳されちゃうことが多いのですが、ジャンヌ・ダルクのコトバにはもっとパワーがあるはず。ではwillの正体は何者なのでしょうか?

助動詞willを「~でしょう」と訳すと、残念なことに…

結婚式で神父さんが問いかける場面です。

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神父:“Will you take Takeshi to be your husband? ”(あなたはタケシを夫とすることを誓いますか?)

花嫁:“I【will】.”(はい、誓います)

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花嫁が言った“will”に注目してください。willを「~でしょう」って訳してしまうと、結婚式は大変なことになってしまいますよね。花嫁が「【たぶん】誓う【でしょう】」なんて言ったら新郎も大ショックです。

willの本当の意味は「100%必ず~する」。実はすごくパワフル

実は、willの意味は「100%必ず~する」っていう非常にパワフルな意味なんです。これだけ覚えてください。willにはたくさん意味がありますが、これだけで十分です。willが強いって、意外な感じがするかもしれませんが、次のことわざ、聞いたことありませんか?

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「Where there’s a will, there’s a way.」─ proverb

「意志があれば、道は見つかる(精神一到何事か成らざらん)。」─―ことわざ

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このwillは名詞で「意志」という意味です。ぜひ辞書で名詞のwillをチェックしてみてください。

will 【名詞】①意志 ②決意 ③命令 ④遺言

どれもすごく強い意志を感じませんか? 「こうするんだ!!」とか「こうしてほしい!!」といった強さがありますよね。

当然、助動詞willにもこの強さがあるんです。ですからwillは「100%必ず~する」って意味になるんです。

助動詞willは、用法を問わず「必ず~する」と考えればOK

willの用法として、参考書には「習慣・習性…」など、いろんな意味が載ってます。

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【willの意味】(一般参考書の分類)

①意志「~するつもり」

②推量「~するでしょう」

③習慣・習性「~する習慣・習性がある」

④(否定文で)拒絶「絶対に~しない」

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これを「100%必ず~する」って知識だけで片づけていきましょう。ムリして「このwillはどの意味かな?」って考えなくても大丈夫ですよ。

イラスト:ツダタバサ
出所:関正生著『カラー改訂版 世界一わかりやすい英文法の授業』(KADOKAWA)

①意志「~するつもり」

これはカンタンですよね。「必ず~する」って強い意志です。

◆I’ll call her tonight.「今夜は【必ず】彼女に電話【する】」

②推量「~するでしょう」

これも中学校で習ったと思いますが、実は100%の自信があるときに使うんです。自分のキモチですから、根拠がなくても使えます。

◆The paint will be dry in half an hour.「30分もすれば【必ず】ペンキは乾き【ます】」

③習慣・習性「~する習慣・習性がある」

willは未来形なんて習ってたのに、いきなり習慣と言われても、とまどうかもしれませんが、これも「必ず~する」と考えてみてください。

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「The successful man will profit from his mistakes and try again in a different way.」─― Dale Carnegie

「成功をつかむ人というのは、失敗から学び、再び立ち向かうのである。」─―デール・カーネギー

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直訳は「必ず失敗から利益を得て、必ず挑戦する」です。成功する人にはそういう習慣があるということですね。

④(否定文で)拒絶「絶対に~しない」

否定文won’tは「必ず~しない」→「絶対~しない」でOKです。

◆The baby won’t eat anything.「その赤ん坊は【決して】何も食べようと【しない】」

記事冒頭のジャンヌ・ダルクのwillも「必ず~する」で考えてみましょう。

◆Act, and God【will】act.「行動しなさい。そうすれば【必ず】神も動き出してくれる」

このように、あえてwillの意味を分類しないほうが、英文が持つ本来の意味がわかるものなんです。

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<まとめ>

●willを見たら「必ず~する」と考える!!

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コラム:なぜwill=「~でしょう」という訳が広まったのか?

なぜ多くの人がwillは力強いってイメージを持てずに、「~でしょう」って弱々しい訳し方にとらわれてしまうのでしょうか。本来、willは力強い断定ですから、ネイティブも使う場面を選びます。「あんまり強く言い過ぎちゃマズいなあ」ってときは、I thinkをつけて断定を弱めるんですね。

◆I【think】I【will】meet some of my friends at the party this evening.「今夜のパーティーで友達に会う【でしょう】」

おそらく昔の英語の先生たちがこういう文を見て、willは「~でしょう」と思いこんでしまったのでしょう。逆に言えば、それだけwillは力強いって証拠にもなりますね。willは「100%必ず~する」なんです!!

関 正生

スタディサプリ講師

1975年東京生まれ。埼玉県立浦和高校、慶應義塾大学文学部(英米文学専攻)卒業。TOEIC L&Rテスト990点満点取得。リクルート運営のオンライン予備校「スタディサプリ」講師。スタディサプリでの有料受講者数は年間140万人以上。

著書は「世界一わかりやすい授業」シリーズ、「大学入試 関正生のプラチナルール」シリーズ(以上、KADOKAWA)など累計350万部突破。またNHKラジオ「基礎英語2」テキストでのコラム連載、英語雑誌『CNN ENGLISH EXPRESS』での記事執筆など多数。

オンライン英会話スクールhanaso(株式会社アンフープ)での教材監修、社会人向けの講演など、20年以上のキャリアで磨かれた「教えるプロ」として、英語を学習する全世代に強力な影響を与えている。

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