東日本大震災の津波で兄幸男さん=当時(80)=を亡くした北茨城市磯原町豊田の平塚信次さん(85)ら遺族が11日午前、幸男さんが眠る市内の墓を訪れて冥福を祈った。
震災で同市は、最大で高さ6.7メートルの津波が押し寄せた。津波にさらわれた幸男さんは大量の海水を飲み、搬送先の病院で息を引き取った。信次さんらきょうだいは毎年、幸男さんの命日に墓参りし、花と線香を手向けている。
幸男さんの姉、久江さん(96)は、幸男さんについて「本当にいい子だった。みんなに来てもらって喜んでいると思う」と涙ぐみ、「海の水を見ると憎らしくなる」と話した。
信次さんは「誰からも好かれる、気持ちの穏やかな人だった。安らかに眠ってほしい」と願い、「津波が来たら高台に逃げること。同じことを繰り返してはならない」と力を込めた。