FRB利下げ、「6月以降まで待つべき」とJPモルガンCEO

[シドニー 12日 ロイター] - 米金融大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は12日、米連邦準備理事会(FRB)はインフレとの闘いで信頼性を高める必要があるとし、6月以降まで利下げを待つべきとの見方を示した。

豪紙オーストラリアン・フィナンシャル・レビューのイベントにオンラインで参加し「(FRBは)データに依存しなければならない。私なら待つ」と述べた。

また「いつでも素早く急激な引き下げが可能だ。FRBの信用が幾分かかっている。私なら6月過ぎまで待って、全てを解決させるだろう」と語った。

米経済はブームと言えるほど好調だと指摘したが、市場が経済のソフトランディング(軟着陸)を全面的に見込むことには慎重な姿勢を示した。何らかの形で景気後退(リセッション)が起こる確率が約65%あるとし、インフレと不景気が重なるスタグフレーションの可能性も排除しなかった。

ダイモン氏はこれまで、ウクライナ戦争やパレスチナ自治区ガザでのイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘など、地政学的緊張に対する警戒感を示していた。

2023年終盤からの債券や株式市場の急上昇にはバブル的な特徴があるとし、新型コロナウイルス禍で行われた財政・金融支援の影響がまだあると説明。「世界がそれほどにまで安全でリスクフリーかどうかは分からない」と述べた。

また、暗号資産ビットコインに批判的な考えを示してきた同氏は、その用途の多くは性売買や詐欺、テロリズムのような違法行為だと指摘。「ビットコインが何のためにあるのかは分からないが、たばこを吸う権利は守るし、ビットコインを買う権利も守る。ただ、個人的にはビットコインを買うことはない」と述べた。

人工知能(AI)技術にも言及し、JPモルガンでは2000人の従業員が400の使用事例について取り組んでいると説明した。さらに、読書の時間がないときに自宅でAIを活用することもあると述べた。

<米大統領選>

11月の米大統領選については、選挙戦が「サーカス」のようになる可能性があり、大接戦が予想されると述べた。

トランプ前大統領が再選されれば、1期目よりもさらに過激になる恐れがあるとの懸念を示した。

「トランプ氏は外交政策について話す際、もっと思慮深く、理性的な話し手になることを望む」とも述べた。

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