5人に1人

 「5人に1人」-。30人のクラスだと“仲間”が6人いる計算になる。案外それなら寂しくないか、とも考えかけたが▲街で歩いている人に無作為に尋ねて「YES」の答えが返ってくる確率が5分の1でも、2人続く確率は4%、3人連続だと…と試しに計算してみると、やはり相当に寂しく厳しい数字だ。共同通信社の電話世論調査で岸田文雄内閣の支持率が20.1%まで下がった▲党派閥の裏金事件を受けて衆院の政治倫理審査会に出席した議員たちは「説明責任を果たしていない」91%。裏金受領議員に対する税務調査を「行うべき」94.5%。極端な数字が並んだ。みんな怒っている▲能登半島地震を巡る政府の対応を「評価している」とする回答は「ある程度」を含めて55%。辛うじて及第点が付いた格好だが、胸を張れる結果とは言えまい▲低空飛行の支持率が常態化している政権にとって「株価の好調」は唯一の好材料かもしれない。しかし、株価が4万円台になっても、景気回復の実感は「どちらかといえばない」27%「ない」61%…。世論は正直だ。多くの人にとって、株価の数字は生活と懸け離れた場所で躍っている▲週明けの株価は値下がりで始まった。先行きの即断は禁物だが、首相には“命綱”のきしむ音が聞こえているかもしれない。(智)

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