「記憶と教訓を伝える」。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から13年となった11日、福島県内で催された追悼行事で若者たちがメッセージを発した。県主催の追悼復興祈念式に臨んだ相馬高出版局の生徒は、未曽有の大災害の教訓を後世に残すと誓った。1月には能登半島地震が発生し、防災の必要性を強く感じた。新聞発行を通して風化にあらがい続ける決意を新たにした。
相馬高出版局部長の山本咲妃さん(17)、副部長の草野紗羽さん(17)、部員の佐々木明日香さん(17)=いずれも2年=は県追悼復興祈念式の若者の言葉で登壇した。「私たちは震災の記憶がある最後の世代。震災を知らない世代に経験を伝えていくことの大切さを感じている」と力強く語った。
学校新聞「相馬高新聞」を月1回のペースで発行し、復興の歩みを進める古里の話題や部活動の活躍ぶりなどを発信している。これまでも3月11日に合わせて特集などを掲載してきた。能登半島地震直後、「相馬にとって人ごとではない」と被災地の高校などに電話取材を行い、1月19日に号外を出した。被災地の生徒が登校できない現状などを丁寧に聞き取った。相馬高生が募金活動を繰り広げた様子などを紙面で伝えた。
祈念式で「能登半島地震のニュースを見て、東日本大震災を語り継ぐ思いがより一層強まった」と強調した。山本さんは「若い世代にとって震災が風化していると感じる。これからも相馬市の前向きな話題を取り上げ、震災を伝え続ける」と誓った。
終了後、内堀雅雄知事は相馬高新聞を手に取り「自分ごととして寄り添い、一緒に復興を前に進めていくことの大切さを実感した」と語った。