長崎・原爆資料館 個々の歴史を資料からひもとく企画展「ナガサキ-『あの日』からの私」 手紙や絵、体験記など9月末まで

展示資料に見入る来場者=長崎市、長崎原爆資料館

 長崎原爆の後、被爆者や遺族たちはどんな人生を歩んだのだろうか-。個々の歴史を資料からひもとく企画展「ナガサキ-『あの日』からの私」が、長崎県長崎市平野町の長崎原爆資料館・企画展示室で開かれている。9月末まで。入場無料。
 被爆、そして終戦後も市民の心身をむしばみ、今もなお苦しめ続ける原爆や戦争の恐ろしさを伝えようと同館が企画した。長崎医科大の学生が原爆投下の直前まで宮崎の母に送り続けた手紙と、その息子を失った母の戦後の手記、壮絶な戦後を送った被爆者の脳裏に焼きつく光景を描いた絵など64点が並ぶ。

原爆で亡くなった学生の水筒と家族のエピソード

 「一人一人の体験と向き合ってもらいたい」と、本人や家族が語ったエピソードや体験記なども展示した。同館学芸員の後藤杏さん(26)は「被爆者の中には、心の傷だけでなく、当時から続く身体の痛みを今も抱える人もいる。資料を通じて自分の立場で考え、想像してほしい」と語った。
 見学した北海道の大学生、大竹賢登さん(25)は「原爆については学校で聞いてはいた。その時も想像していたら分かったのかもしれないが、資料を通して実際の被爆者や周りの人の思いを感じることができた」と展示に見入った。
 長崎市は新年度一般会計当初予算案に被爆資料の収集強化や収蔵資料の追加調査にかかる費用として940万円を計上している。

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