歌い継ぐ「明日へ」 3月閉校の山田・船越小、「3.11」集会で合唱

東日本大震災発生後、2011年度の6年生が作詞し、復興への願いが込められた「明日へ」を歌う船越小の児童=11日午後2時41分、山田町船越

 今月閉校する岩手県山田町の船越小(石川修司校長、児童66人)は11日、同校で東日本大震災を語り継ぐ全校集会を開いた。津波で校舎が全壊し、混乱の中で2011年度の6年生が復興への思いを込めて作詞した曲「明日(あした)へ」を合唱。震災発生後に生まれた児童が、高台移転した校舎で迎える最後の「3月11日」に声をそろえ、記憶と教訓をつないでいくと誓った。

 明日は今日より輝いているはずなんだ―。震災の経験を基に卒業生が作詞した「明日へ」。「苦しい中でも何かを作り出すことで、希望への架け橋になると考えたそうです」と後輩たちに6年生が楽曲の由来を伝える。混乱のさなかにあった11年度生まれ。荒川蒼太君(6年)が「船小のシンボル」と語る通り、大事に歌い継いできた。

 地震発生直後、同校の児童は高学年が低学年の手を取って避難した。2階建ての旧校舎は海抜約13メートルにあったが、当時の校務員の進言で校庭から高台へ。直後に津波が押し寄せたが、児童176人は無事だった。

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