「妊娠しました!」自己申告で5万円もらえる「出産応援ギフト」…なりすましや重複受給の可能性は?担当者に聞いた

「妊娠しました」と自己申告をすれば、5万円のカタログギフトがもらえる、出産応援施策が2023年4月から全国的に始まっている。

「居住地の自治体に妊娠の届け出をすれば、5万円ぶんのWebカタログギフトがもらえます。所得制限はありませんし、住民登録しているすべての人が対象ですので、在留期間3カ月超の外国人も含まれます。『申請するだけ』という使い勝手のよさから好評のようです」(政治担当記者)

これまで、岸田首相の進める「異次元の少子化対策」は不評な施策ばかりだったが、この施策の使い勝手のよさだけは歓迎されているようだ。申請から受給までを東京都某区の担当者に聞いた。

「Webでも可能な場合もありますが、まずは区役所に出向いていただき、申請書の記入と助産師の『ゆりかご面接』を受けていただきます。そのときアンケート形式で『妊娠がわかった日』『出産確定期』『通院中の病院』などを記入していただく流れになります」

面接と申請だけとは、確かに使い勝手はいい。しかし、医療機関の証明書などがないという手軽さゆえ、「なりすまし」や「居住地を転々とする重複受給」の心配はないのだろうか。

前出の担当者は、

「助産師さんはプロですから、妊娠に至るプロセスと出産日の整合性に疑問が出たら、記入してもらった病院に問い合わせをします。2023年度は1300件以上の申請を受け付けましたが、病院への問い合わせは1件、「なりすまし」はゼロでした。

ただ、妊娠はおめでたいことなので、根掘り葉掘りしつこく聞けないところに、もどかしさを感じることはありますが、その後も妊婦健診などで確認する方法はあります」

と自信を見せる。

しかし、SNSには、

《いったもん勝ちやん。ダメじゃん厳しくしないといくらでも不正が出ます》

《性善説に立った手続きは見直す必要があります》

《母子手帳を見ながら保健師による妊婦相談したら良いと思います。母子手帳を持ってないのは怪しです。》

など「不正」を心配する声は多い。

さらには、

《交付金が増えても同額病院の支払いも増額されて意味無し》

《その分出産費用が値上げになるんでしょ?》

と “疑惑” の眼差しを向ける書き込みも――。自治体の現場も国民も、まだまだ混乱しているようだ。

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