チェルシー終売で「10万円超」高額転売も登場 明治広報「不本意な状況」 “適正料金”で購入する方法は?

黒字に花柄のパッケージデザインも多くのファンを引きつけた(チェルシー公式サイトより)

明治のロングセラーキャンディー「チェルシー」が3月いっぱいで終売すると明らかになって約1週間。これまで当たり前のようにコンビニやスーパーマーケットのキャンディーコーナーに並んでいたチェルシーがどこを探しても見つからず、途方に暮れている人も多いのではないだろうか。

それならばとフリマサイト「メルカリ」をのぞいてみると、通常なら1袋200円前後で購入できるはずのチェルシーが10倍以上もの価格であまた出品されており、「SOLD」となっているものも少なくない。

フリマサイトは“チェルシーバブル”状態

こうした状況について、明治の広報担当者は編集部の取材に対し「皆さまには適正な価格でお求めいただきたいという思いから、不本意な状況ではございます。私どもとしましては、できれば、適正な価格でお手にとっていただければと思います」と回答した。

改めてメルカリを見てみると、100袋、100箱近いチェルシーを10万円以上で出品していたり、「出品一覧」にチェルシーばかりが50件以上ずらりと並んでいるアカウントがあったり、まさに“チェルシーバブル”状態となっている。

ラクマ、Yahoo!フリマといったメルカリ以外のフリマサイトや、Amazon、Yahoo!ショッピング、楽天市場などのショッピングサイトでも販売状況は変わらず、需要が供給を大きく上回っている状況と言えるだろう。

アグネス・チャンやPUFFYも歌ったCMソング

チェルシーは1971年に販売開始されて以来、50年以上にわたって愛され続けてきた。「今までにない特長とおいしさ」を求めて明治がヒントにしたのは、イギリス・スコットランドの伝統菓子「スカッチキャンディー」。

それまで日本では行われていなかった「流し込み」(原料を練り合わせてそのまま型に流し込む製法)を取り入れたことによって、なめらかで、バターの風味たっぷりの高級感あふれるキャンディーができあがった。

2021年に亡くなった作曲家・俳優の小林亜星さんが作曲したCMソング「チェルシーの唄」は、これまで南沙織さん、あみん、大貫妙子さん、アグネス・チャンさん、シーナさん(シーナ&ロケッツ)、PUFFY、CHEMISTRYらさまざまなアーティストによって歌い継がれている。

チェルシーといえば「バタースカッチ」「ヨーグルトスカッチ」が定番だが、明治のサイトには過去に販売していた商品として「アーモンド」「カフェオレ」「ロイヤルミルクティー」「抹茶ミルク」「アジアンデザート」「焦がし黒糖ミルク」「ビスケットバタースカッチ」など多彩な味が並んでおり、「この味、懐かしい」「これはどんな味なんだろう」と、サイトを眺めているだけでも楽しい。

「適正価格で購入する方法」明治に聞いてみると…

店頭でなかなかチェルシーが見つからない今、どうにか適正価格で購入する方法がないか明治の広報担当者に聞いてみると、「残念ながら在庫が少なくなっておりますが、店頭で探していただければ幸いです」とのことだった。

明治は終売の理由を「収益性の低下」と明かしており、消費者としては終売の事実を寂しく思うとともに、「いつでも食べられるから」とロングセラーに安心しきっていたことを悔やむ気持ちが湧き上がってくる。

近年、ポポロン(2015年、明治)、ポルテ(2017年、明治)、キスミント(2018年、江崎グリコ)、チョコフレーク(2019年、森永製菓)、さくらんぼの詩(2021年、UHA味覚糖)など菓子業界でロングセラー商品の終売が相次いでいるが、「好きなお菓子は食べられるときに食べておく」ことも、私たち消費者ができることのひとつなのかもしれない。

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