あかね色だから「アカネコバンハゼ」 鹿児島で新種見つかる

サンゴ礁に生息する新種のアカネコバンハゼ(鹿児島大学総合研究博物館提供)

 鹿児島大学総合研究博物館などの研究チームは、県本土や奄美群島などのサンゴ礁に生息するコバンハゼ属の新種を発見したと発表した。あかね色の体色にちなみ、標準和名をアカネコバンハゼと名付けた。2月末、日本魚類学会発行の英文誌に掲載された。

 アカネコバンハゼは、全長3センチほど。体のあかね色に対し、全てのひれの色が黒や灰色と濃いのが特徴。形態や遺伝学的な調査から、他の種とは異なることが分かった。成魚はサンゴの枝の間にペアで、幼魚は縁に単独で生息する。

 県内や八重山諸島のほか、西太平洋広域の熱帯・亜熱帯海域に分布しているとみられる。日本では、サンゴの減少が原因で、コバンハゼ属の種は全て準絶滅危惧種に指定されている。

 ハゼを研究する大学院1年の佐藤智水(まさゆき)さん(23)が、県内各地の海に潜って個体を採取し、名前も考えた。「身近に新種の魚がいて感慨深い。多様性に富むハゼは、色彩も美しく興味が尽きない。研究を続けたい」と話した。

アカネコバンハゼを発見、名付けた佐藤智水さん
新種アカネコバンハゼの標本(鹿児島大学総合研究博物館提供)

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